棗(なつめ)にまつわるエトセトラ

お茶の友人と、東京国立近代美術館・工芸館で開催中の「棗(なつめ)にまつわるエトセトラ」という展示会に行ってきました。

工芸館の所蔵品の中から、人間国宝の作品や近代の漆芸家・木工芸作家が手掛けた作品がたくさん出品されるというので、期待しながら出掛けました。

棗はお茶を入れる道具ですが、その形もそこに施される装飾も実に様々です。

今回は「漆芸」が見どころの中心。

漆芸には、蒔絵、螺鈿、彫漆・・・など様々な技法がありますが、

どれも本当に細やかで、その繊細さは日本人ならではと言えるかも知れません。

漆製品を英語で「Japan」というのもうなずけますね。

今回の展示作品では、人間国宝の作品を含めた数々の作品の様々な手業を間近に見ることが出来、

その素晴らしさにうっとりしました。

 

工芸館では水曜日と土曜日に「タッチ&トーク」というイベントを行っています。

これは約1時間で、作品に実際に触る機会と学芸員の方から詳細な説明を聞ける機会が一緒になったもの。観覧券があれば誰でも参加出来ます。

行った日がちょうど土曜日でしたので、参加してきました。

別室で作品に触れながら漆の基本についてお話を聞いてから、展示室に移動して

いくつかの作品について詳しい説明を聞きました。

例えば、展示品の中の室瀬和美氏の「老松蒔絵棗」には、点々と丸く光る装飾が。

学芸員の方が「これは何だと思いますか?」

果てさて何でしょう・・・銀?真鍮???

なんと小さな真珠とのことでした。

正に日本の手業ですね~。

会場の最後に「近代工芸の名品」と呼ばれるの物が何点か展示されていました。

ふと目に留まったのが、香取秀真(かとり ほつま/1874ー1954)の銀製の花瓶。

香取秀真は印西出身の鋳型工芸作家です。

鳥が彫られた優しい雰囲気の作品でしたが、ここで香取秀真作品に出会うとは思っていませんでした。

 

興味のある方は、今月11日(月・祝)まで展示しています。

 

 

初釜

昨日は社中の初釜でした。お茶室は、例年使わせていただいている柏の葉公園内の松柏亭。

週の始めの天気予報では、あわや雪!とのことでしたが、前夜に降った雨も朝には止んで、清々しい朝を迎えました。

日中もお天気に恵まれて、お茶会日和になりました。

 

今回の初釜では、昨年お茶名をいただいた記念に、

先生が社中の皆様への披露の席を設けて下さいました。

一緒にお茶名をいただいた方と一席ずつ、

広間で社中の皆様に、濃茶を点てて差し上げます。

 

私がトップバッター。

「では始めます」との先生のお声でスタート。

実は、自分自身の心を上手く落ち着かせることが出来ないまま始めてしまい、お道具を持って入り点前座に座った途端、「あっ、足袋カバーを履いたままだワ」。

脳裏に、秋の口切の茶事で主菓子をお客様にお出しするのに、準備したまま確認せず出してしまい、

お客様が蓋を開けたらサランラップがかかっていた・・・というようなことまで思い出されてきました。

お点前の最後の方で、一旦水屋に下がった際、急いで足袋カバーを脱ぎました。

足袋カバーは、大切な場面に綺麗な足袋でいるために履いておくものですから、本番前には必ず脱がなければいけません。

お点前の方も若干不手際が・・・大勢の方の前で、心を落ち着かせてお点前することは、なかなか難しいですね。

 

お昼のお弁当
お昼のお弁当

ところで、いただいたお茶名ですが、

 宗直(そうなお)

です。これからも、精進して行きたいと思います。

 

お披露目が終わった後は、ホッとして色々なお席を楽しみました。

ご準備して下さった先生、ご一緒して下さった皆さま、

どうもありがとうございました。

 

 

「東洋漆工と製作技法」

月1回聴講しているお茶の講座の3回目に行ってきました。

「東洋漆工と製作技法」というタイトルで講義をしてくださるのは、鶴見大学の小池富雄先生。

先生は、名古屋の徳川美術館にお勤めしていたこともある方です。

 

お茶の講義ですから、今回の講義の中心は唐物漆器。

天目台や茶入を乗せた盆などの話が中心でした。

 

今回はその製作技法についても伺いましたが、

同じ天目台を作るのにも、中国式・日本式と技法が異なるというのは興味深く聞きました。

これも近年のX線やCT撮影でわかったことだというので、科学技術というのはすばらしいですね。

 

お話はちょっと横道にそれて・・・

最近は中国のお金持ちの方々が、昔日本に輸入されたこの「唐物」を買いにいらっしゃるのだそうですよ。

中国では文化大革命の際、こういった古い物をほとんど灰にしてしまったのだとか。

それで本国には残っていない古い時代の物を、日本に買いに来るのだそうです。

物によっては数億円!という物まであるのだとか・・・。

最近ニュースのあちこちで億単位の金額を耳にしますが、

庶民にはちょっと実感しない金額ですね。

 

年内に東京に出るのは恐らく最後。

なので東京に出たついでに、少し年末年始の買い物をしました。

いま街中は、クリスマスとお正月が一緒になってなかなか賑やか。

お菓子売り場も、お歳暮とクリスマスとお年賀が同居しています。

私もちょっとお正月のものを調達しました。

 

今年も残り僅か。

そろそろ断捨離を兼ねた大掃除を始めようかしら・・・。

 


和食と発酵食品

お茶の勉強会第2回目に行ってきました。

内容は発酵食品について。

講師は発酵食品についてたくさん本も書いていらっしゃる東京農業大学の小泉武夫先生。

 

講義の前半は発酵食品の分類や特徴について。

発酵食品には乳酸菌で発酵するヨーグルトや、大豆を発酵させて作る納豆など様々なものがありますね。

私も今年の夏は「発酵」にちょっと凝りまして、随分たくさん発酵食品を食べました。

甘酒も一時流行りましたが、これも発酵食品。

ビタミンやアミノ酸、ブトウ糖などを含み、「飲む美容液」なんて呼ばれることも。

この「飲む美容液」というのも、今回の小泉先生が言い始めたんだそうですよ。

 

発酵食品について勉強した後、いよいよ和食と発酵食品の関係のお話へ。

小泉先生は、和食が世界遺産に登録されるに当たり尽力されたそうですが、

その小泉先生によると、和食の特徴として、

まず日本には世界一良いお水があるということなんだそうです。

日本の水には鉄分が含まれておらず、それが日本酒を産む第一条件であり、

お茶の色が綺麗な緑色になることや白いお豆腐が出来るのも、

美味しい水があってこそなのだそうです。

 

また日本食の基本は「植物」。

根茎(大根、芋、牛蒡など)、菜の葉、青果、山菜・茸、豆、海藻、穀物の7種。

また五味といつて、辛(からい)、酸(すっぱい)、鹹(しおからい)、苦(にがい)、甘(あまい)という味覚がありますが、和食にはこの他に「旨(うまみ)」という味覚があると。

つまりこれが「だし」で、昆布・しいたけ・煮干し・・・などから取りますね。

 

最後に先生は、和食には哲学があるとおっしゃいました。

季節感、約束事、挨拶・・・。

茶席でお茶をいただく際に、先の連客には「もう一服いかがですか?」、次の連客には「お先にいただきます」と言ったりしますが、こんな礼儀も日本ならではなのかしら?と思いました。

 

 

口切の茶事が終わりました

7月にお茶名をいただいてから準備を重ねていた口切の茶事が、昨日お天気にも恵まれて無事に終了しました。

今回は同じ時にお茶名をいただいた方と二人亭主。

懐石はベテランの先輩に全般的にお願いして、進行や担当については手順良く出来るように二人で話し合ってやりました。

お客様で席入りして下さっていた先生も、心配でちょくちょく水屋に顔を出して下さいました。

 

当日は、朝まだ自宅に居る頃から普段にはしないようなことを色々とやらかしました。

やはり、気持ちがどこか落ち着かなかったのかもしれませんね。


「お花が一番たいへんなの」と先生に言われて探した椿。最終的には、お庭に白玉椿のある方から分けていただいたものを、先生に活けていただきました。

花入は「真」の曽呂利。

茶壺の飾り結びも何とか時間内に出来ました。

何回も試作を重ねた主菓子。

栗餡をそぼろにしてイガに見立て、小豆あんの回りにつけました。自分でつけた銘は「里の秋」。

水屋で乾かないように縁高の中のお菓子にラップをかけておいたのを取り忘れて、そのままお客様に出してしまうという大失敗。

今回はそれも笑い話にしていただいて・・・。



いよいよ濃茶のお点前。お客様は4人。

一度に4人分を点てるの濃茶は、なかなか難しいです。

前日に先生のお宅で最後の練習をさせていただいた時にも、

まだ課題が残っていました。

美味しいお茶を飲んでいただきたい・・・

その気持ちだけ持って、心を込めて点てました。

後で先生から「今まで練習した中で、一番良く点てられました」と言っていただき

ほっとしました。

 

どんなに準備しても、失敗無く終えることはなかなか難しいです。

だからこそ、次回には!と思えるのですが。

ご一緒して下さった皆さま、色々ご準備下さった先生、

どうもありがとうございました。

 

 

「墨跡と陶芸展」の添窯

お茶の先生が画廊の催事の添窯の依頼を受けて、

社中の有志でお手伝いをすることになりました。

催事の内容は写真の通り。

茂原市にある両忘禅庵というお寺の大木宗完住職が自ら手捻りされた

茶道具と、数々の墨跡が展示されていました。

このお寺の別院がアメリカにあって、禅と茶道の「日本文化研修センター」を建設中とのこと。この費用に充てるために催された展示会です。

禅宗のご住職で、ご自身もお茶をされるということで、

その作品は侘びたもの。ステキなお道具が並んでいました。

掛け軸の墨跡は、写真にもあるように、この趣旨に賛同されたそうそうたる老師方の筆がズラリと。

 

折角なので、軸に書かれた禅語の説明をお願いしましたが、

「本来禅語の意味は自分で考えるもの」とおっしゃって、

説明を途中でお止めになりました。

こうしたお話も貴重に拝聴しました。

 

展示会の一角には、ご住職が書かれた色紙や短冊もありました。

よく知られたものばかりです。

この日の記念に、みんな一つづつ手に入れました。

私が手に入れたのは、富士山の絵と共に

「晴れてよし 曇りてもよし 不二乃山 元の姿は変わらざりけり」と書かれた色紙。

これは山岡鉄舟が、東京から三島の龍澤寺に参禅に通っていた時に、富士山を見て読んだ歌だそうです。

実際に歴史的背景のある歌だそうですが、先のご住職のお話のように、それを知らなくても、自分自身に重ねて考えて良いワケですね。

 

お手伝いに行ったつもりが、なかなか有意義な一日になりました。

 

 

口切り茶事まで一週間

11月に入りました。今日は「立冬」ですが、毎日暖かいですね。

暖かいのは嬉しいですが、もう少ししみじみと秋から冬への季節の移ろいを感じたいような気もします。

 

さて11月に入ってすぐ、着物教室の生徒さんの「留袖を15分以内で着る」という初等科修了試験がありました。

お仕事の都合などでちょっと時間が空いてしまいましたが、ご本人の集中力で見事合格。

この生徒さんは、お嬢さんの来春の卒業式・入学式に、ご自分で着物を着る予定です。

 

そして、今度は自分の番です。

「口切り茶事」が目前に迫ってきました。

 

納得出来ていなかった主菓子づくりもそろそろ決着をつけなければなりません。

今まで何度も試作品を作って来ましたが、

これまでに反省した点やアドバイスされたことなどを総動員して、先日最終試作品を作ってみました。

今までの中では、一番良く出来たかしら・・・?

本番用のお菓子は、もう少し日が迫ってから作ります。

お客様に喜んでいただけると良いのですが。

 

それから頭を悩ませていた後座の床に飾る椿。

先生も「お花が一番たいへんなのよ」とおっしゃいます。

他のことは準備出来ても、こちらは生もの。

必要な時にちょうど良い咲き加減の花が手に入るかどうかは、誰にもわかりません。

自宅の周辺を歩き回って探しましたが、なかなか目星がつけられませんでした。

こちらは結局、どうしても自分で見つけられない時には・・・

と頼みにしていた社中のお仲間のご自宅の椿をいただくことにしました。

直前に、いただきに伺うことに。

 

今日は一緒に亭主をする方と、最終チェックのお稽古。

先生もお時間を割いて下さって、お茶事の流れに沿ってお稽古して下さいました。

どんなに準備したつもりでも、なかなか完璧には出来ないものです。

後は、忙しい中来て下さるお客様に心を込めておもてなしをするだけ・・・。

あと一週間、体調だけは気を付けて過ごそうと思います。

 

 

映画「日々是好日」

「日々是好日」という映画が公開中です。

ご存知樹木希林さんの出演作ですが、先月残念ながら亡くなったこともあって、映画館は盛況のようです。

 

私も是非観に行きたいと思っていましたが、

何やらかにやらの予定が詰まっていて、いつ行こうかしら?と思っていました。

そんな時、友人が誘ってくれたので「うん、行く!」と返事をして、先日行ってきました。

私は6月に「モリのいる場所」という樹木希林さんの出演映画を観たので、希林さんの作品は今年二作目。

  

この「日々是好日」はお茶の映画で、主演は黒木華さん。その友人役で多部未華子さんも出ています。

樹木希林さんは、お二人のお茶の先生役。

希林さんのお点前の練習時間は数日しかしなかったと何処かで聞いたように思いますが、

人生を重ねたお人柄がにじみ出るようなステキなお点前を披露しています。

余り動きの無い役ですが、静かに座っているその味わい深い佇まいにほれぼれしました。

 

「お茶はまず形なの・・・頭で考えない・・・」

「毎年同じことが出来るってことが幸せ」

「五感を使って、全身でその瞬間を味わう」

お茶のついて色々な言葉が出て来る映画です。

 

「お茶を習ってみたくなっちゃったわ」

映画館を出ると、直ぐに友人が口にしました。

お茶を習っていてもいなくても、

これから習ってみようと思う人でもそうでない人も、

是非映画館に足を運んでみて下さいね。

季節感に溢れた、とても綺麗でステキな映画です。

 

『茶湯一会集』の講義

裏千家の会報には、お茶会や催事・講義など色々な情報が掲載されています。

数か月前の会報に国際茶道文化協会主催の「茶の湯概論」という講座が紹介されていました。

これは「茶の湯初心者を教える先生のための講座」という全5回の講義で、

茶道の基本的な内容について広く学ぶというような内容になっていました。

お茶を教えているのではありませんが、自分の勉強にもなると思い、早速申し込みをしました。

 

昨日がその講義の一回目。

講義内容は『茶湯一会集(ちゃのゆいちえしゅう)』について。

この本は井伊直弼が幕末に著したもので、「一期一会」という言葉は井伊直弼がこの本の中で使ったのが始まりです。

今回の講義は、この本を読み解いて茶の湯の神髄に迫ろうというもの。

先生は筒井紘一氏。筒井先生は本もたくさん書いていらっしいますし、テレビでも時々お見かけします。

実際にお会いしてみると、背筋をピンと張られて、78歳というお歳には見えません。

お元気故かお話のテンポも良くて、話は幾度も転がってあっちへ行ったりそっちへいったり・・・。

ご自身でも「いやいやこの話は置いといて・・・」とおっしゃりながら、

でも転がったお話もとても勉強にになることばかりで、あっという間の2時間でした。

 

今日の講義の中で、心に残ったのは「独坐観念」という言葉。これは『茶湯一会集』の最後に出て来る言葉だそうですが、

その意味は、お茶事が終わってお客様を見送った後、

「あー終わったあ~」と直ぐに片付け始めるのではなくて、

茶室で一服点てて、お客様は満足されただろうかとその日の茶事に思いを馳せる・・・ということを言うのだそうです。

 

私も来月には大切なお茶事がありますから、

そんな心得で臨みたいものです。

 

口切り茶事まであと一ケ月

10月に入り、来月の口切り茶事がグーンと目前に迫って来ました。

先日のお稽古では、お料理担当の先輩も一緒に打合せ。

先生も加わって、お道具や食器の相談もしました。

 

私は主菓子の担当で、試作品作りに精を出しているところ。

栗をテーマにしたお菓子になる予定ですが、なかなか納得の行くように出来ません。

前回の茶事でお菓子を作った際もそうでしたが、参考書通りにやっても

なかなかその通りに出来上がらないのは、私の腕のせいでしょうか・・?

人に尋ねたり、ネットを検索したりしながら、今も試行錯誤中。

そろそろ何とか納得する形に仕上げたいところですが・・・。

今回の茶事では、床に飾る花も探してみることにしました。

口切り茶事の床に一番ふさわしいのは椿。

残念ながら我が家に椿は無いので、他を当たることになります。

早速園芸好きな近所の知人に尋ねたところ、残念ながらそのお宅にも椿は無し。

けれど顔の広い方なので、「近所のお知り合いに頼める方がいらしたら」とお願いしました。

けれど結果はわかりませんから、他も当たります。

目星がつかなければ、自分で歩いて探すことに・・・。

緑の多い土地なので、あそこに行ってみようか、こっちはどうか・・・

とアタマの中に地図を開いているところ。

 

それから、そろそろお客様にご招待のお手紙も書きます。

巻紙に毛筆(筆ペンですが)で書くのが決まりです。

毛筆ですから書き間違っても修正出来ません。最初から書き直し。

最初から最後まで緊張の連続で、私などは息を詰めて書き上げます。

けれど、忙しい時間をさいて来て下さるお客様に心を込めて手書きのお手紙を書くと、ここから既にお茶事が始まっているように感じられて、

気持ちが引き締まるんですよ。