猛暑と着物

暑いです・・・(*_*)。

毎日毎日この言葉ばかり耳に入って来ますね。

言っても状況は変わらないワケですが、つい口から出て来ます。

 

着物の方では、7月・8月は「薄物(うすもの)」といって、透け感のある着物を着ます。

着る人だけでなく、見る人にも涼しさを感じさせます。

先日お茶の先生は、京都のお茶会に着物で参加されました。

気温は38℃!薄物と言っても、さすがに汗びっしょりだったようです。

 

着物をよく着る人でも、一年で一番暑いこの時期のために着物をあつらえようとする方は、そんなに多くはないかもしれませんね。

少し前のブログにも書きましたが、今度一緒にお茶名をいただく方が、「引次式」に着る盛夏の着物をお持ちで無いので、

先生のお宅に単衣の着物を持参して、そこで着替えてから行うことになりました。

本来ならば、盛夏の生地で紋のついた着物に袋帯で臨みます。

 

先日着付けの依頼がありました。

8月上旬のお琴の発表会に着物を着られるのですが、今回は二回目です。

前回は冬でしたが、こんなに暑い時期は初めてとのことで、お琴の先生にお尋ねになったところ、

「透けない着物で」と言われたとのことで、こちらでの打ち合わせの際に単衣の着物をご用意されてお持ちになりました。

外を歩かれるのではないですが、やはりちょっと暑いかもしれませんね。

「薄物」の着物は着用時期も短いですし、慣れない方にはちょっとハードルが高いのかも知れません。

  

私が今の季節一番好きなのは麻の着物。

肌につかず軽くて、何と言っても自宅で水洗い出来ます。

あまりきっちりとではなくて、風が通るようにザックリと着るのがポイント。

 

・・・そんな猛暑の中、初等科に入学希望の方が。

まだまだ暑い日が続きますから、浴衣の着付けからお勉強していただきましょうか。

今からお勉強していただければ、

今度のお正月にはバッチリ着物が着られますね。

 

 

 

江戸の落語と着物

NHKの『美の壺』で「江戸の落語」というのをやっていたので見ていたら、噺家さんの着物のお話しから始まりました。

 

噺家といっても上方と江戸(東京)では、着物姿も異なるのだとか。

江戸の噺家さんが着る着物の色は、紺・ネズ・茶・緑・紫など。

柄も縞や江戸小紋などで、それは「江戸の粋」というワケですね。

 

着物の紹介に出て来た柳家さん喬(さんきょう)という噺家さんは

着物通で知られ、100以上の着物をお持ちだそうです。

興味深かったのは、演目によって着物を着分けているということ。

長屋のお話なら、着物は地味目に、

同心が登場するようなお話しなら、太い縞の着物に黒の羽織・・・など。

話の内容に合わせた着物を着ることで、自分の世界を作りやすくするのだそうです。

 

噺家さんは必ず羽織を着て登場し、途中で脱ぎますね。

羽織を脱ぐのも適当な時にやっているのではなくて、本題に入るときや重要な場面転換の時に脱いでいるのだそうです。

脱ぎ方にも色々あるそうで、サラッと脱いでしまう時もあれば、

裏地に凝っていたりすると、チラッとお客様に見せるように脱ぐこともあるのだとか。

 

冠組の帯締め
冠組の帯締め

番組では羽織の話をする中で羽織紐のことにも触れ、

「冠組」の話が出ました。

冠組は紐の組み方の一つで「ゆるぎ」とも言い、帯締めにも使われます。

この組み方はもともと武官の冠の紐に使われていたもので、ほどけない上に伸縮性があり、帯締めとしてもとても使いやすい私も好きな組み方です。

 

30分程の短い番組ですが、「へぇ~」と思いながら興味深く見ました。

今度落語を見るときは、今まで意識しなかったところにも目が行きそうです。

 

 

着物姿に魅せられて

数日前のことです。

偶然、ステキな着物姿の方をお見かけしました。

 

その方は私の目の前に突然現れました。

私の母より少し年上という感じがしたので、御年90歳少し前?

まず目に留まったのが、首元の白い半衿。

ネズ色の着物に、紺色の紗の羽織をお召しでした。

残念なことに私の目が悪いせいで、一寸の間で着物の細かな柄まで把握することは出来ませんでしたが、

無地ではなくて、何か細かい織の模様が入っているようでした。

その方はあっという間に私の横を通り過ぎて行かれましたが、思わず振り返った私の目に飛び込んで来たのは、

またしても足元の足袋の白さでした。

白髪をきれいに結い上げて、背筋をまっすぐにスッと伸びた後姿。

羽織の背縫いと着物の背縫いがぴったりと一直線になった凛とした後姿は、この方のお人柄を物語るようでした。

 

着物が完全に自分の物になっている・・・年齢を重ねて、この方のような着姿になることは憧れです。

それは着付けの本に書いてある「着物の着方」というのとはちょっと違う話です。

若い方の振袖姿はもちろん美しいですが、「年齢を重ねてこその着姿」というのもあります。

長い年月をかけて着物を着込んで、「その人」が表れる「着姿」というものですね。

 

着物姿は、やはりキリッとしていなくてはいけません。

これから夏に向かって暑くなって行きますね。

着物を着るには覚悟が必要になってきますが、どんなに暑くても見た目は涼し気に行きましょう!

 

 

カイコの話

少し前のことになりますが、皇居内の養蚕所のことが新聞に載っていました。

皇居内には「紅葉山養蚕所」という施設があって、蚕(カイコ)を育てています。

誰が育てているかというと、皇后さまが自らされているのです。

 

明治時代、生糸は重要な輸出品でした。

このため、当時の皇后さまが養蚕業奨励のために始められました。

けれどその後、国内の養蚕業は著しく衰退。

今でも皇后さまが皇居内で養蚕を続けていらっしゃるのは、

「日本の近代を支えた養蚕業を守り続けている人々への共感と、

 伝統をつなぐ者でありたいというお気持ちから」

とのことです。

 

その伝統が、雅子さまに引き継がれることになりました。

今月、初めて雅子さまが紅葉山養蚕所を視察され、

皇后さまから直接説明を受けられたそうです。

 

正絹の着物は、この蚕が吐き出す糸が無くては出来ません。

現在では海外から輸入される生糸もたくさんありますが、日本の蚕には是非頑張ってもらいたいですね。

 

と思っていたら、先日NHKの「クローズアップ現代+」でカイコの話をやっていました。

番組の途中から見たので、最初の方は別の話をしていたようですが、

要するに「生物」を生産工場として利用するという話でした。

カイコについていうと、カイコの糸(シルクタンパク質)を作り出すメカニズムをテクノロジーに利用しよう!

という内容です。(話が難しくなるので興味のある方はこちら → https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4133/

 

時代が変わってカイコの利用法も変化して行くようです。

いずれにしても、日本の養蚕業に明るい兆しが見られることは嬉しいお話ですね。

 

 

着付けの勉強会②

お茶の社中の方が、着付けの勉強にいらっしゃいました。

前回は先生のお宅で、先生もご一緒に帯結びを中心に勉強しました。

前回は3月だったので、2か月空けての勉強会でした。

 

今回いらしたお二人は、今月下旬に先生のお宅でのお茶事のご予定があります。

お一人は席中でお詰という重要な役割を、

もうお一人は裏方ですが、水屋でお料理作りを

ということで、気合が入っていました。

それぞれ気になっていることをお聞きしながら、ご要望に応じての勉強会です。

 

二人でいらしたので、自分のことだけでなくてもうひと方のお話にも耳を傾けながら

「なるほど~!」

などと言いながら、ご自分の手も動かすことに。

自分の着姿だけでなく、人の着姿を見るのも勉強になりますね。

 

日頃お稽古でご一緒しているので、

おしゃべりしながらあっという間の授業でした。

 

お帰りになってから、メールが来ました。

「ものすごく有意義なレッスンでした!」

何か一つでも参考になったのなら、こちらも嬉しいです。

お茶事まであとわずかですが、是非成功させてくださいね。

 

 

着物を着る悦び

連休中は実家に帰ったりしていたので、着物を着る機会がありませんでした。

連休明けのお茶のお稽古で久しぶりに着物を着ることに。

前日から、何となくウキウキしました。

「きもの、きもの、明日は着物を着るんですう~」

 

前日の夕方に翌日のお天気と気温を確認して、さて何を着ようかを考え始めます。

余り暑くなさそうだわ・・・お茶のお稽古だから紬より小紋がいいわね、

袷も最後かも知れないからアノ着物にしようかしら・・・、そしたら帯は・・・。

いつも帯揚げや帯締めは二種類くらい用意しておいて、実際に着るときの気分で決めます。

 

 

お稽古の日は曇りのつもりが出掛けに雨になったので、

急きょ草履を雨用に替え、羽織を着るつもりだったのを雨ゴートを出すことに。

 

けれどこの季節には珍しく気温も低くて、いつもなら袷だと汗をかく季節ですが、汗を気にせずお稽古出来ました。

小紋にしたので、絹がしっとりと体に纏わってくる感じも味わって。

 

着付けを習った方には、なるべく着物を着る機会を持ってほしいと思います。

近所へのお買い物、お友達とのランチ、ご主人とのお出掛け・・・

最近は、着物で行くと割引になる美術館もありますね。

着物を着ていると、男性も優しくしてくれるようですよ。

 

着物を着慣れてきたら、着物の素材による違いも楽しんで欲しいです。

先に書いた小紋のような柔らかい着物はしっとり体に纏わって、優しい気持ちになりますし、

紬のような織りの着物は、キッパリしていてこちらもシャッキっとします。

これから単衣になり、長襦袢や帯も少しずつ薄手の物になって行きます。

麻や薄物など、季節に沿った装いも体験していただけたらと思います。

着物を着ることが楽しくなってきたら・・・私にとってこんなに嬉しいことはありません。

 

「江戸の粋とデザイン」展

ゴールデンウィーク後半も、なかなか良いお天気でした。

私は横須賀の実家に帰っていましたが、向かう途中の都内や横浜もいつもより人が少ないようだったので、旅行に行かれた方・遠出をされた方・自宅でゆっくりされた方・・・たくさんいらしたことと思います。

 

私は実家で片付けやお墓参りなどしていましたが、

4日には行きたかった展示会に出掛けました。

横浜のシルク博物館の「江戸の粋とデザイン」展です。

江戸時代のステキなデザインの着物を直接見ることが出来る、またとない機会です。

技巧も、染め・刺繍・絞りなど多岐に渡っていました。

何よりデザインが素晴らしいです。

吉祥・自然・文学・・・現在でも少しも古く感じることの無いステキな着物ばかりで、ため息が出ました。

展示会は6/3までですが、5/15~展示品の入れ替えがあります。

講演会やギャラリートークもあるようですよ。

興味のある方は、こちらをご覧下さいね。

http://www.silkcenter-kbkk.jp/museum/2018-harukikaku/


シルク博物館では生糸に関する様々な講習会や実演会などを行っています。

今年も「手作り真綿」の講習会があるようです。

生徒さんと一緒に参加してみたいと思いますが、

ちょっと遠いのでなかなか実行出来ずにいます。

 

シルク博物館の近くには、こんな美しい横浜教会や、

 

 

 

サンドイッチで有名なこんなお店もあります。

エキゾチックな横浜の街を、着物で散策するのも楽しいかも知れませんね。


映画の中の着物

図書館できものの本を借りました。

「伝えておきたい古きよききもののたしなみ ~日本映画に学ぶ」(河出書房新社)

作家・近藤富枝さんの著書です。

 

近藤さんは、大正11年に日本橋の袋物問屋に生まれました。

「文士のきもの」など、着物に関する著作もある方です。

2016年に93歳で亡くなりました。

 

この本は、日本映画の中に登場する着物を例にとり、当時の流行などを踏まえながら

職業や性別・立場による着物の着方の違いなどについて書かれています。

取り上げられている映画は古い映画がほとんどですので、

見た映画もあるし知らない映画もありました。

若い方にはちょっとわからないかもしれません。

 

 

見たことがある映画は「なるほど」と思いながら読めましたが、

見たことが無くて、この本をきっかけにどうしても見たくなった映画がありました。

今は便利ですね。

早速ネット注文で取り寄せました。

 

その一つがこちら「夜の河」。

近藤さんの本の中に「羽織のコーディネイトが楽しめる」とあったので、取り寄せました。この頃の羽織は今より丈は短め。

私も生まれていない昭和31年の作品で、内容はメロドラマです。

舞台が京都の染物屋ということで、業界の裏側も見ることが出来ます。

 

今では着物はほとんどの場合が「晴れ着」になりました。

これらの映画の中の着物は、日本人が普通に着物を着ていた頃のお話。

帯の結び方や衿の合わせ方、羽織の丈・・・時代や立場によって色々な着方があって興味深いです。

 

 



思い出の着物や帯をリメイクして

自分の母や祖母から譲られた着物や帯をお持ちの方も、たくさんいらっしゃることでしょう。

それを実際に自分で着ていらっしゃる方もいれば、

譲られてもなあ・・・とお困りの方もあると思います。

 

今朝テレビのニュースの中でそんな着物や帯のリメイクされている方が紹介されていました。

(最初ちょっと見逃してしまい、どちらでされているのかわかりませんでしたが。)

番組に中でたまたま紹介された方は、40数年前のご自分の七五三の際にお母様が買って下さったという

蝶の柄の帯のリメイク。

「蝶は幸せを運んで来てくれるのよ」

と言ったお母様の言葉と共に、大切に保管されてきた帯です。

お母様の思い出の詰まった帯を、形を変えてでも何とかして残したい・・・

そう思ってこちらを尋ねたようでした。

結局この帯に織りこまれた蝶は、形を変えて甦りました。

ご本人用にトートバッグ、二人の娘さん用にポシェットにそれぞれ生まれ変わったのです。

バッグに生まれ変わった帯をみたとたん、「嬉しい!」。

この方の目から涙があふれていました。

 

肉親が着ていた着物というのは、なかなか処分出来ないものですね。

右の写真は、私の母が着ていた塩沢の着物を名古屋帯にリメイクしたもの。この着物を着た、まだ私が幼い頃の母の写真が残っています。

 

母はまだ元気でいますが、

もう着物は着ないということで譲り受けました。

塩沢の生地に絞りが入っているのが珍しく、何とか着物で着たいと思いましたが、自分の寸法に仕立て直すのに裄丈が足らず、

迷った末に名古屋帯にしました。

毎年初夏になるとよく締めています。

なんということもない帯ですが、

私にとってはやはり大切な帯なのですね。

 

もう単衣!?

ことしの春は気温が高いですね。

桜は3月の下旬に咲いてしまいましたし。

今朝テレビのの天気予報で、桜とツツジが一緒に咲いている写真が出ました。

ツツジはもう少し後、4月下旬からゴールデンウィーク頃に咲いているイメージで、ちょっと見たことの無い景色でした。

もうフジが咲きだしているそうです。

ツツジもフジも初夏の花ですね。

 

その天気予報で、今年はヒノキの花粉が大量に飛んでいるという話をしていました。

これも気温が高いせいだそうです。

友人が「風を引いて、熱は出なかったけど鼻水が止まらない」と話していたのは、

ひょっとするとヒノキの花粉かも・・・と思いました。

いずれにしても、お大事に。

 

これだけ気温が上がってくると、袷の着物を着るのがちょっと辛くなってきます。

着物の本来のきまりからすると、5月いっぱいは袷。

お茶会などでは「暑い!」と言いながらも、今でもこのルールが守られていますが、

お洒落着では、とても袷は着ていられません。

私は暑がりなので、気温が25度近くなるという日には、もう単衣を着たい気分です。

 

着物や帯の柄の中には、季節の花などを表現したものがありますから、

先程のフジの柄の帯などをお持ちの方は、今年は早めに締めないと

「締める時季を逸してしまった!」というようなことが起こるかもしれません。

緩やかに変化していた日本の四季が、今年のように「冬が終わったら夏」みたいなことになってくるのは、ちょっと寂しいことのように思います。