着付けの打合せとランチ

数年前までお隣に住んでいた方から、

「着付けをお願いしたいのだけど」と連絡が来ました。

同世代なので、お隣に住んでいた頃はよく2階のベランダ越におしゃべりをしていました。

引越先は市内で車で15分程なので、「新居を見に来て~」とお誘いを受けてお邪魔したこともあります。

 

お隣にいらした時に、下のお嬢さんの卒業式・入学式に着物を着たいということで、着付けをしました。

今回は既に結婚されている上のお嬢さんが、お子さんの七五三と翌月のお兄さんの結婚式に着物を着たいと言っているからお願いしたい、という内容でした。

「必要な着付け小物が揃っているか、見に来て欲しいのだけれど・・・」

という連絡が来たので、昨日久しぶりに伺いました。

 

お茶をいただきながら近況報告などして、早速お嬢さんの着付け小物を拝見。

「私と同じ日に着ることもあるかもしれないから、自分の物をちゃんと揃えさせていの」というおかあさま。

伊達締めが足りないようでしたので、ご用意していただくようにお願いしました。

その後当日の打合せなどもした後で、ランチをご馳走になりました。

ランチをいただきながら、今回のためにお嬢さんと呉服店に行った際の、あれやこれやの着物と帯のコーディネイト写真を拝見。

随分悩まれたそうですが、楽しく選ばれたようでした。

着物が大好きとのことで、「着付けも習いたいと言っているのよ」とのことですが、フルタイムのお仕事と子育てで、着付けの勉強はもう少しさきになりそう・・・。

 

お嬢さんはこの秋2回着物を着ることになりますが、

「やっぱり着物ってステキ!」と思っていただけると嬉しいです。

 

 

和裁

今週発売の「きものSalon '18 -'19 秋冬号」に読みたい記事があり、購入して家で読んでいました。

すると記事の中に今年の春に結婚された知花くららさんの婚礼衣装のことが書かれてあって、

その婚礼衣装製作に携わった中の一人に、以前私が習いに行っていた和裁の先生がいらしたことを知りました。

先生は昨年秋に厚生労働省の「現代の名工」に選ばれた方。

今でも時々お会いして、色々勉強させていただいています。

知花さんの白無垢は、他では見られない完全オリジナルの素敵な衣装。

生地も特別なものなので、きっと先生がお持ちの和裁の技術が発揮されたことでしょう。

 

着物を縫うことを、洋裁に対して和裁と言いますが、

和裁士さんはただ縫うばかりではありません。

直線裁断の生地を、それぞれ違う体型の人が美しく纏えるように縫うワケですから、着物の各所に和裁士さんの技術が詰まっています。

 

話は変わって、右の写真は私のへら台とくけ台。

点前のヘラ台は、着物を広げてこの上でヘラを使うもの。

本来の和裁では長い反物を広げられるように、一枚板の和裁台を使いますが、我が家にはスペースがないので、簡易の折りたたみ式。伸ばせば反物も広げられます。

 

裁ち台の向うはくけ台。

これについたクリップに反物を留めて縫い進みます。

机に取り付けられる簡易型のものあります。

半衿付けの時に便利です。

 


下の写真は和裁用物差しとメジャー。

上が竹の物差しで、下は鯨尺と普通のメジャーが裏表になったもの。

着物の世界は今でも鯨尺で、「袖丈1尺3寸」などと言います。鯨尺の1寸は約3.8cm。

着物を誂えようとする時、自分のサイズがこの鯨尺寸法で言えると良いですね。

 

こちらの教室にお勉強にいらした方には、半衿付けの講義の際にこの和裁道具を紹介しながら、

和裁について多少のお話もしています。

今では海外縫製やミシン縫製の着物もありますが、日本の和裁士さんならではの高い技術も知って欲しいと思います。

 

 

猛暑と着物

暑いです・・・(*_*)。

毎日毎日この言葉ばかり耳に入って来ますね。

言っても状況は変わらないワケですが、つい口から出て来ます。

 

着物の方では、7月・8月は「薄物(うすもの)」といって、透け感のある着物を着ます。

着る人だけでなく、見る人にも涼しさを感じさせます。

先日お茶の先生は、京都のお茶会に着物で参加されました。

気温は38℃!薄物と言っても、さすがに汗びっしょりだったようです。

 

着物をよく着る人でも、一年で一番暑いこの時期のために着物をあつらえようとする方は、そんなに多くはないかもしれませんね。

少し前のブログにも書きましたが、今度一緒にお茶名をいただく方が、「引次式」に着る盛夏の着物をお持ちで無いので、

先生のお宅に単衣の着物を持参して、そこで着替えてから行うことになりました。

本来ならば、盛夏の生地で紋のついた着物に袋帯で臨みます。

 

先日着付けの依頼がありました。

8月上旬のお琴の発表会に着物を着られるのですが、今回は二回目です。

前回は冬でしたが、こんなに暑い時期は初めてとのことで、お琴の先生にお尋ねになったところ、

「透けない着物で」と言われたとのことで、こちらでの打ち合わせの際に単衣の着物をご用意されてお持ちになりました。

外を歩かれるのではないですが、やはりちょっと暑いかもしれませんね。

「薄物」の着物は着用時期も短いですし、慣れない方にはちょっとハードルが高いのかも知れません。

  

私が今の季節一番好きなのは麻の着物。

肌につかず軽くて、何と言っても自宅で水洗い出来ます。

あまりきっちりとではなくて、風が通るようにザックリと着るのがポイント。

 

・・・そんな猛暑の中、初等科に入学希望の方が。

まだまだ暑い日が続きますから、浴衣の着付けからお勉強していただきましょうか。

今からお勉強していただければ、

今度のお正月にはバッチリ着物が着られますね。

 

 

 

江戸の落語と着物

NHKの『美の壺』で「江戸の落語」というのをやっていたので見ていたら、噺家さんの着物のお話しから始まりました。

 

噺家といっても上方と江戸(東京)では、着物姿も異なるのだとか。

江戸の噺家さんが着る着物の色は、紺・ネズ・茶・緑・紫など。

柄も縞や江戸小紋などで、それは「江戸の粋」というワケですね。

 

着物の紹介に出て来た柳家さん喬(さんきょう)という噺家さんは

着物通で知られ、100以上の着物をお持ちだそうです。

興味深かったのは、演目によって着物を着分けているということ。

長屋のお話なら、着物は地味目に、

同心が登場するようなお話しなら、太い縞の着物に黒の羽織・・・など。

話の内容に合わせた着物を着ることで、自分の世界を作りやすくするのだそうです。

 

噺家さんは必ず羽織を着て登場し、途中で脱ぎますね。

羽織を脱ぐのも適当な時にやっているのではなくて、本題に入るときや重要な場面転換の時に脱いでいるのだそうです。

脱ぎ方にも色々あるそうで、サラッと脱いでしまう時もあれば、

裏地に凝っていたりすると、チラッとお客様に見せるように脱ぐこともあるのだとか。

 

冠組の帯締め
冠組の帯締め

番組では羽織の話をする中で羽織紐のことにも触れ、

「冠組」の話が出ました。

冠組は紐の組み方の一つで「ゆるぎ」とも言い、帯締めにも使われます。

この組み方はもともと武官の冠の紐に使われていたもので、ほどけない上に伸縮性があり、帯締めとしてもとても使いやすい私も好きな組み方です。

 

30分程の短い番組ですが、「へぇ~」と思いながら興味深く見ました。

今度落語を見るときは、今まで意識しなかったところにも目が行きそうです。

 

 

着物姿に魅せられて

数日前のことです。

偶然、ステキな着物姿の方をお見かけしました。

 

その方は私の目の前に突然現れました。

私の母より少し年上という感じがしたので、御年90歳少し前?

まず目に留まったのが、首元の白い半衿。

ネズ色の着物に、紺色の紗の羽織をお召しでした。

残念なことに私の目が悪いせいで、一寸の間で着物の細かな柄まで把握することは出来ませんでしたが、

無地ではなくて、何か細かい織の模様が入っているようでした。

その方はあっという間に私の横を通り過ぎて行かれましたが、思わず振り返った私の目に飛び込んで来たのは、

またしても足元の足袋の白さでした。

白髪をきれいに結い上げて、背筋をまっすぐにスッと伸びた後姿。

羽織の背縫いと着物の背縫いがぴったりと一直線になった凛とした後姿は、この方のお人柄を物語るようでした。

 

着物が完全に自分の物になっている・・・年齢を重ねて、この方のような着姿になることは憧れです。

それは着付けの本に書いてある「着物の着方」というのとはちょっと違う話です。

若い方の振袖姿はもちろん美しいですが、「年齢を重ねてこその着姿」というのもあります。

長い年月をかけて着物を着込んで、「その人」が表れる「着姿」というものですね。

 

着物姿は、やはりキリッとしていなくてはいけません。

これから夏に向かって暑くなって行きますね。

着物を着るには覚悟が必要になってきますが、どんなに暑くても見た目は涼し気に行きましょう!

 

 

カイコの話

少し前のことになりますが、皇居内の養蚕所のことが新聞に載っていました。

皇居内には「紅葉山養蚕所」という施設があって、蚕(カイコ)を育てています。

誰が育てているかというと、皇后さまが自らされているのです。

 

明治時代、生糸は重要な輸出品でした。

このため、当時の皇后さまが養蚕業奨励のために始められました。

けれどその後、国内の養蚕業は著しく衰退。

今でも皇后さまが皇居内で養蚕を続けていらっしゃるのは、

「日本の近代を支えた養蚕業を守り続けている人々への共感と、

 伝統をつなぐ者でありたいというお気持ちから」

とのことです。

 

その伝統が、雅子さまに引き継がれることになりました。

今月、初めて雅子さまが紅葉山養蚕所を視察され、

皇后さまから直接説明を受けられたそうです。

 

正絹の着物は、この蚕が吐き出す糸が無くては出来ません。

現在では海外から輸入される生糸もたくさんありますが、日本の蚕には是非頑張ってもらいたいですね。

 

と思っていたら、先日NHKの「クローズアップ現代+」でカイコの話をやっていました。

番組の途中から見たので、最初の方は別の話をしていたようですが、

要するに「生物」を生産工場として利用するという話でした。

カイコについていうと、カイコの糸(シルクタンパク質)を作り出すメカニズムをテクノロジーに利用しよう!

という内容です。(話が難しくなるので興味のある方はこちら → https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4133/

 

時代が変わってカイコの利用法も変化して行くようです。

いずれにしても、日本の養蚕業に明るい兆しが見られることは嬉しいお話ですね。

 

 

着付けの勉強会②

お茶の社中の方が、着付けの勉強にいらっしゃいました。

前回は先生のお宅で、先生もご一緒に帯結びを中心に勉強しました。

前回は3月だったので、2か月空けての勉強会でした。

 

今回いらしたお二人は、今月下旬に先生のお宅でのお茶事のご予定があります。

お一人は席中でお詰という重要な役割を、

もうお一人は裏方ですが、水屋でお料理作りを

ということで、気合が入っていました。

それぞれ気になっていることをお聞きしながら、ご要望に応じての勉強会です。

 

二人でいらしたので、自分のことだけでなくてもうひと方のお話にも耳を傾けながら

「なるほど~!」

などと言いながら、ご自分の手も動かすことに。

自分の着姿だけでなく、人の着姿を見るのも勉強になりますね。

 

日頃お稽古でご一緒しているので、

おしゃべりしながらあっという間の授業でした。

 

お帰りになってから、メールが来ました。

「ものすごく有意義なレッスンでした!」

何か一つでも参考になったのなら、こちらも嬉しいです。

お茶事まであとわずかですが、是非成功させてくださいね。

 

 

着物を着る悦び

連休中は実家に帰ったりしていたので、着物を着る機会がありませんでした。

連休明けのお茶のお稽古で久しぶりに着物を着ることに。

前日から、何となくウキウキしました。

「きもの、きもの、明日は着物を着るんですう~」

 

前日の夕方に翌日のお天気と気温を確認して、さて何を着ようかを考え始めます。

余り暑くなさそうだわ・・・お茶のお稽古だから紬より小紋がいいわね、

袷も最後かも知れないからアノ着物にしようかしら・・・、そしたら帯は・・・。

いつも帯揚げや帯締めは二種類くらい用意しておいて、実際に着るときの気分で決めます。

 

 

お稽古の日は曇りのつもりが出掛けに雨になったので、

急きょ草履を雨用に替え、羽織を着るつもりだったのを雨ゴートを出すことに。

 

けれどこの季節には珍しく気温も低くて、いつもなら袷だと汗をかく季節ですが、汗を気にせずお稽古出来ました。

小紋にしたので、絹がしっとりと体に纏わってくる感じも味わって。

 

着付けを習った方には、なるべく着物を着る機会を持ってほしいと思います。

近所へのお買い物、お友達とのランチ、ご主人とのお出掛け・・・

最近は、着物で行くと割引になる美術館もありますね。

着物を着ていると、男性も優しくしてくれるようですよ。

 

着物を着慣れてきたら、着物の素材による違いも楽しんで欲しいです。

先に書いた小紋のような柔らかい着物はしっとり体に纏わって、優しい気持ちになりますし、

紬のような織りの着物は、キッパリしていてこちらもシャッキっとします。

これから単衣になり、長襦袢や帯も少しずつ薄手の物になって行きます。

麻や薄物など、季節に沿った装いも体験していただけたらと思います。

着物を着ることが楽しくなってきたら・・・私にとってこんなに嬉しいことはありません。

 

「江戸の粋とデザイン」展

ゴールデンウィーク後半も、なかなか良いお天気でした。

私は横須賀の実家に帰っていましたが、向かう途中の都内や横浜もいつもより人が少ないようだったので、旅行に行かれた方・遠出をされた方・自宅でゆっくりされた方・・・たくさんいらしたことと思います。

 

私は実家で片付けやお墓参りなどしていましたが、

4日には行きたかった展示会に出掛けました。

横浜のシルク博物館の「江戸の粋とデザイン」展です。

江戸時代のステキなデザインの着物を直接見ることが出来る、またとない機会です。

技巧も、染め・刺繍・絞りなど多岐に渡っていました。

何よりデザインが素晴らしいです。

吉祥・自然・文学・・・現在でも少しも古く感じることの無いステキな着物ばかりで、ため息が出ました。

展示会は6/3までですが、5/15~展示品の入れ替えがあります。

講演会やギャラリートークもあるようですよ。

興味のある方は、こちらをご覧下さいね。

http://www.silkcenter-kbkk.jp/museum/2018-harukikaku/


シルク博物館では生糸に関する様々な講習会や実演会などを行っています。

今年も「手作り真綿」の講習会があるようです。

生徒さんと一緒に参加してみたいと思いますが、

ちょっと遠いのでなかなか実行出来ずにいます。

 

シルク博物館の近くには、こんな美しい横浜教会や、

 

 

 

サンドイッチで有名なこんなお店もあります。

エキゾチックな横浜の街を、着物で散策するのも楽しいかも知れませんね。


映画の中の着物

図書館できものの本を借りました。

「伝えておきたい古きよききもののたしなみ ~日本映画に学ぶ」(河出書房新社)

作家・近藤富枝さんの著書です。

 

近藤さんは、大正11年に日本橋の袋物問屋に生まれました。

「文士のきもの」など、着物に関する著作もある方です。

2016年に93歳で亡くなりました。

 

この本は、日本映画の中に登場する着物を例にとり、当時の流行などを踏まえながら

職業や性別・立場による着物の着方の違いなどについて書かれています。

取り上げられている映画は古い映画がほとんどですので、

見た映画もあるし知らない映画もありました。

若い方にはちょっとわからないかもしれません。

 

 

見たことがある映画は「なるほど」と思いながら読めましたが、

見たことが無くて、この本をきっかけにどうしても見たくなった映画がありました。

今は便利ですね。

早速ネット注文で取り寄せました。

 

その一つがこちら「夜の河」。

近藤さんの本の中に「羽織のコーディネイトが楽しめる」とあったので、取り寄せました。この頃の羽織は今より丈は短め。

私も生まれていない昭和31年の作品で、内容はメロドラマです。

舞台が京都の染物屋ということで、業界の裏側も見ることが出来ます。

 

今では着物はほとんどの場合が「晴れ着」になりました。

これらの映画の中の着物は、日本人が普通に着物を着ていた頃のお話。

帯の結び方や衿の合わせ方、羽織の丈・・・時代や立場によって色々な着方があって興味深いです。