初めての「お誂え(おあつらえ)」

生徒さんが、ご自分のサイズに合った長襦袢を誂えたいとのことで、染匠の展示会にご一緒しました。

 

「自分で着物が着たい」とのお気持ちで着付けの勉強を始められた方ですが、

最初はご自分の着物や長襦袢・帯などをお持ちで無かったので、

ご自宅での練習用に染匠の「入門者セット(既成品)」を購入されて勉強していました。

 

先月無事に卒業される頃、

「自分サイズの長襦袢が欲しいのですが・・・」

と相談されました。

そうなんです。

着物を着らるようになると、ちゃんと自分の体に合ったものが欲しくなるのですね。

 

ちょうど今月染匠の展示会がありましたので、ご一緒しました。

まずは長襦袢。染匠の長襦袢は正絹ですが washable で、自宅で洗えるという優れものです。

会場でたくさん反物を見せられて、「迷ってしまうわあ~」と。

鏡の前で肩から反物を下げて、あれこれ悩んで・・・、遂にお気に入りの反物が見つかりました。

 

その後校長先生に相談にのっていただいて、コートも誂えることに。

この方は積極的に着物で外出されているので、「これからはコートが無いと、寒いでしょ?」と、校長先生。

ご本人も、長襦袢の他に着物かコートも作りたいと考えていらしたので、早速コートの生地を物色。

校長先生がおススメして下さった反物の中に、お好きな柄を発見!

色も柄も上品なステキな反物でした。

 

仕立てに一ケ月程かかりますが、クリスマスや暮れのお出掛け、もちろんお正月には堂々と着物でお出掛け出来ますよ。

「今から楽しみ~」

と初めての「お誂え」に満足されたご様子でした。

納品まで、ワクワクしながらお待ちくださいね。

 

ドラマ「陸王」

ドラマ「陸王」が始まりました。

役所広司さんが足袋・こはぜ屋の社長役で、とても楽しみにしていたドラマです。

 

原作は池井戸潤さん。

ドラマになると聞いて直ぐに図書館で本に予約を入れたのは、夏の始まる頃だったと思います。

その時既にたくさん予約が入っていました。

流石に池井戸潤さんですね。

何とかドラマが始まる前に読みたい、と思っていましたが間に合いませんでした。

あと少し・・・先週は選挙で一回お休みなので、少し追いついたでしょうか?

少なくとも、ドラマがどんどん進んで行く前に、何とか読み終えたいと思っているのですが。

 

皆さんご存知かと思いますが、埼玉県行田市の老舗足袋屋さんのお話です。

足袋を履く人が少なくなって経営が立ち行かなくなった足袋屋の社長さんが、

これまで培った来た「足袋作りの技術」を活かして「裸足感覚の足袋型ランニングシューズ作り」を試みるーーー。

先代も試みていた足袋技術を踏まえたランニングシューズの名前が「陸王」。

名前はこのままに、現社長は新製品作りに挑んで行くのです。

 

行田は江戸時代から知られた足袋の産地。

良質な木綿の産地でもあり、近くを中山道が走っていたことから、

足袋の生産が盛んになったと言われています。

現在でも、全国有数のシェアを誇るのだとか。

ドラマの中にも登場しましたが、足袋の指の部分を縫うミシンは明治時代から使っている「ドイツ式八方つま縫いミシン」というもの。

そのミシンでないと、足の指にフィットしたカーブが描けないのだとか。

 

池井戸潤さんのドラマは、どれも元気が出ますね。

果たして「裸足感覚の足袋型ランニングシューズ」は完成するのか?

こはぜ屋を応援しながら、見て行きたいと思います。

 

 

きものデビュー

先日初等科にいらしている生徒さんが、自分で着物を着て外出するという「きものデビュー」をしました。

それは「きものカルチャー」で実施している「きもの知識」の勉強会の日でした。

授業は恵比寿校で午後からの予定でしたので、時間に合わせて家を出ます。

 

「きもの知識」は、「きものカルチャー初等科・中等科」で行われている授業で、

実際に着物や帯の反物を手に取って勉強していただけるものです。

着物には様々な染織技術があり、テキストにはその説明や写真が掲載されていますが、

実際に手に取って目で確認できるというのは、とても勉強になります。

 

「きものカルチャー」ではこの授業を定期的に開いていて、生徒さんはご自分の都合に合わせて受講出来ます。

今月はこちら印西教室から二人の生徒さんが出席予定でした。

授業が行われるのは恵比寿校ですし、まだ着付けの勉強中ですから、

必ず着物を着ていかなければならないということはありません。

ですがお二人共「着物で行きたい!」と楽しみにしていました。

残念ながらお一人が体調を崩されて、前日に欠席の連絡が。

でも大丈夫!前述のように定期的に開催されていますから、次回参加しましょうね。

 

「雨だったら着物が着れないから晴れるといいなあ~」

とおっしゃる二人共「雨女」とのこと。

ですが私が強力な「晴れ女」なので、当日は晴れ。

出席の生徒さんは午前中にばっちり準備をして、

待ち合わせ時刻にちゃんと着物を着て現れました。

 

翌日「昨日はとても楽しかったです」とお便りが届きました。

勉強の後は美術館に立ち寄ったとのこと。

「最後まで着崩れませんでした!」と嬉しい報告も。

 

着物が着られるようになると、着物を着て外出したくなりますね。

どんどん着物を着て、ますます着物が好きになって欲しいです。

きものデビュー!が上手く行ったようで、私もとても嬉しいです。

 

 

こぎん刺し・菱刺し、裂織

「こぎん・刺子」荻窪清子・著    (日本の染織13 京都書院美術双書)
「こぎん・刺子」荻窪清子・著    (日本の染織13 京都書院美術双書)

前回書けなかった青森のこぎん刺しなどについてご紹介したいと思います。

 

こぎん刺しは全国各地にそれぞれ特徴を持って伝えられていますが、

青森県のこぎん刺しにも地域によって様々な模様があるそうです。

右の写真の上の三縞こぎんは三筋の縞、右の西こぎんは肩の段模様が特長、

左は東こぎんには縞模様がありません。

 

刺し子にはもともと布の補強の意味合いがあります。

そのデザインは、各地で特長を生み出しました。

津軽地方に伝わるこぎん刺しは、藍地に白糸で刺します。

 

一方で青森県の太平洋側・八戸周辺には「南部菱刺し」が伝わっています。

こちらは明治時代に鉄道が通ってから毛糸がもたらされ、

下の写真のように、色糸を使って色彩豊かに刺されるようになりました。

刺す際の布の織り目の取り方の違いで、それぞれの菱型がこぎん刺しは縦長、南部菱刺しの方は横長になります。

どちらも青森県の伝統的工芸品に指定されています。

「こぎん・刺子」荻窪清子・著  (日本の染織13京都書院美術双書)
「こぎん・刺子」荻窪清子・著  (日本の染織13京都書院美術双書)

もう一つ、青森県は裂織(さきおり)が伝えられています。裂織も全国各地にあります。

古い裂を細く裂いて織り込みます。

南部地方ではきれいな色糸を折り込んで、こたつ掛けが作られてきました。

 

今回の旅行で何か記念にと思い、裂織の入ったバッグを買って来ました

ちょっとわかりずらいですが、裂織の雰囲気が伝わるでしょうか?


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ちょっと秋休み

今年はちょっと忙しい夏でした。

9月に入ってからも何やかやとバタバしており、

そんな時は色々大事なことを忘れるので、メモ書きにして目に留まる所に置いておきました。

 

今週は教室の生徒さんの大事な修了試験もありました。

初等科修了試験は15分以内に留袖を着ていただきますが、これは練習をしないととても合格で出来ません。

夏の暑さの中、袷の留袖の着付けの勉強をするのですから、それだけでもなかなかたいへんですよね。

この生徒さんは、今月の息子さんの結婚式に、自分の留袖を自分で着て出席することを目標に

頑張っていらっしゃいました。

大きな目標があると頑張れますね。

一発合格されました。

この試験が一番心配だったので、無事に合格されてホッとしました。

 

翌日も予定があったのですが、直前にキャンセルになりました。

おかげで、行かれないと思っていた友人たちとのランチ会に参加することに。

久しぶりのおしゃべりに花が咲き、時間の経つのを忘れました。

気持ちもリフレッシュ!

 

今日は別の生徒さんの授業をして、立て込んでいた予定も一区切り。

 

明日から青森県方面へ旅行に行きます。

色々と見たいものもあるので、とても楽しみにしています。

新幹線を新青森駅まで乗車するのも初めて。

それまでの車中では久しぶりに読書をしようと、そのための本も持ちました。

(眠ってしまうかも!?)

 

旅で見て来たものは、戻ってからまたご報告したいと思います。

 

 

「民藝の日本」展

日本橋高島屋で「民藝の日本~柳宗悦と『手仕事の日本』を旅する~」という展示会が開催されています。

全国各地の「日本民藝館」の所蔵品からの展示ということで、楽しみにして出掛けました。

 

柳宗悦はご存知のように、濱田庄司や河井寛次郎、

バーナード・リーチなどとともに日本の民芸運動を起こし「日本民藝館」を設立した人。

 

会場はかなり混んでいました。

展示品は、どれもどこか懐かしい感じのものばかり。

そしてどれも素朴ながら美しくて、引き込まれました。

 

会場の外は店舗が並んでいます。

全国各地から、食器や織物、家具など・・・こちらも盛況でした。

 

小倉織2017-2018カタログより
小倉織2017-2018カタログより

日本橋高島屋全館で「民藝の日本」展を盛り上げていて、7階のリビングフロアでは小倉織の店舗が。

シックな色合いの素敵な商品が並んでいて、

思わず足を止めました。

福岡県小倉の小倉織は袴で有名ですので、絹織物なのかと思っていましたが、綿織物でした。

しかし経糸が密で手触りも柔らかく、

光沢もあるのでまるで絹織物のようでした。

 

小倉織は基本的に縞柄で、カタログにあるようにシックな色合いです。

最近では、このモダンな感じを活かしてクッションやカーテン、様々な小物類など多くの商品を提供しているようですよ。

 

日本橋高島屋の「民藝の日本」展は、9月11日(月)まで。

日替わりで、トークショーや製作実演、ワークショップなども開催されています。

同じ展示会が、横浜店で9月13日(水)~24日(日)でも開催予定です。

 

 

和裁

以前に和裁を教えていただいた先生と今もお付き合いが続いていて、

時々お会いして、着物の仕立てを中心にお話を伺うことがあります。

先日久しぶりにお会いする機会があり、今回も色々なことを教えていただきました。

 

先生は「千葉県のマイスター」にも選ばれています。

千葉県の「ものづくりマイスター制度」は、

『建設業及び製造業における100を超える職種を対象に、高度な技能をもった「ものづくりマイスター」が技能検定や技能競技大会の課題等を活用し、中小企業や学校において広く実技指導を行い、効果的な技能の継承や後継者の育成を行うもの』です。

先生が県内の様々な学校に赴いて、和裁の技術を教えていらっしゃることは知っていましたが、

今回のお話の中で、我が家の近くの小学校にもいらしていたことを知りました。

 

「和裁士」という仕事は、単に「着物を縫う人」というだけではありません。

着物の「お誂え」というのは最初から全てがオーダーメイド。

着る人に合った反物の柄取りや寸法の取り方など、

教科書通りには行かない細やかな配慮が必要です。

 

着物の仕立ては、新しいものを仕立てる場合だけではありません。

サイズ直しや、譲り受けたものの仕立て直し・・・

様々なケースに対応できる知識と技術も必要になります。

 

「着物が綺麗に着られない」という時、

技術的に着られないという場合の他に、「着物が自分に合うように仕立てられていない」ということが多くあります。

衿がはだけてくる、変なシワがよる、何となくすっきりこない・・・。

着物は「自分サイズに仕立てる」のが本来の姿です。

既成の着物や譲り受けた着物で何となくしっくり来ないと感じている方、まずは自分サイズの長襦袢を誂えてみて下さい。

こんなに気持ち良く着られるものか!、と感じると思いますよ。

 

日傘

毎日暑い日が続いています。

今年の夏は例年に比べて暑くなりそうという予報で、毎年暑いのにもっと暑いのかなあ、などと思ってしまいます。

 

外を歩く際に日傘は必須。

最近は男性用の日傘もあるようですね。

 

ずっと麻の日傘を使っていました。

夏の外を歩く時だけで傷みもしないので、夏が終わると自分で少し洗剤を使って手洗いして収納し、

かなり長い年月使っていました。

ですがその日傘もとうとう刺繍のところがほつれてしまい、今年は新しく買うことにしました。

 

久しぶりに日傘を買いに行き、日傘に様々な機能が付いていることにびっくりしました。

雨晴兼用やUVカットはもちろんのこと、遮熱効果の高さや、軽量であることを売りにするもの、

持ち手の長さ・折りたたみの回数の違い、その上にデザインや色の違いにもちろんお値段の違い・・・。

気軽に立ち寄った日傘売り場でどれを選んだら良いか迷ってしまい、思わず立ちすくんでしまいました。

 

固まっている私に親切な店員さんが話しかけてくれたので相談に乗ってもらい、最終的におススメの品を買いました。

最後にはもう訳がわからなくなっていましたので、ちょっと高い買い物をしましたが、確かに日傘をさしていると炎天下でも涼しくて、

新技術を実感しました。

時代は進んでいるのですね(#^.^#)。

 

右の写真は、これまでのお話とは別の小千谷縮の日傘。

二年前に新潟県に旅行に行った際、現地で買ったものです。

こちらは麻。

特に何の加工も施されていない昔からの日傘ですが、

着物で出掛ける際には、こちらをさすことにしています。

 

 

薄物(うすもの)

7月に入ったとたん、気温が30度を超える日が続いていますね。

暑さにまだ慣れていなくて、ちょっと参ってしまいます。

 

着物のほうは、7月8月は薄物(うすもの)の季節です。

着る方も暑い季節に薄物を着ることは嬉しいですが、薄物の魅力は見る方にもあります。

薄物の魅力は、なんといってもその透け感。

着物から下に着ている長襦袢が透けて見えて、涼しげなことこの上ないですね。

 

上村松園「待月」
上村松園「待月」

少し前にご紹介した山下悦子さんの「きもの歳時記」の7月の章には、

「女と夏もの」ということで「薄物」のついての記述があります。

この中で「紋紗」の生地に触れ、

「光線の具合と身のこなしで、水紋のように絶えず布が波立って見える」

中でも見た目の涼しさに紺系統が優れているのは、

「下に白や水色の長襦袢を着ると、光線の具合と身のこなしで、水紋のよう    に絶えず布が波立って見える。・・・紺という地色が水を連想させるからか  もしれない。」

 文章の中に紹介されてる上村松園の「待月」の女性については、

「露草色の紗にうつる朱の色はなまめかしい」。

 

上村松園の描く着物姿の女性は、どれもみな美しいですね。

なかなか絵の中の女性のようには行きませんが、

せっかく涼しげな着物を着ているのですから、

夏に着物を着る時は、本当は汗だくであっても((#^.^#))、ぐったりした顔をしていてはいけません。

髪もスッキリとまとめて、いかにも涼やかに・・・

と行きたいものですね。

 

 

「日本の職人/匠の技」展

東京に行った際に、日本橋三越で開かれている「日本の職人/匠の技」展に寄ってみました。

こんな感じの催事は、デパートなどで時々開催されていますね。

全国の様々な「匠の技」が直接見られるので、見ていて楽しい催事です。

 

今回は全国津々浦々から、染織、家具、日用品、仏壇、宝石・・・など、

さまざまな工芸品を見ることが出来ました。

着物も美しい京都友禅、涼やかな芭蕉上布、藍染め、絞り、久留米絣・・・

いろいろ出展されていました。

その中で、直接お話を聞けたのが江戸小紋の小林染芸さんと牛首紬の加賀乃織座さんです。

 

江戸小紋の小林染芸さんには、さまざまな江戸小紋の反物がズラリ。

有名な柄の他にも、ちょっと楽しくなる遊び心の詰まった柄などさまざま。

最近は反物の巾も広く、裄の長い現代の若い人にも十分対応します。

「気に入った柄で、好きな色にも染められるよ」

 

もう一つは、牛首紬の加賀乃織座。

こちらは金沢市の近くの白山市にある牛首紬のギャラリースペースです。

私は二年前の夏に、牛首紬が実際に織られているもっと山の方のある織元・白山工房を訪れたことがあります。

そこでは実際に玉繭から糸を繰り出している作業などを拝見しました。

今回は完成品がズラリ。

先染めの反物、白生地を訪問着のように染めたもの、袷用、単衣用、盛夏用、牛首紬の帯・・・

色々な種類の牛首紬を見せていただいて、絹の光沢の美しさにうっとりしました。

 

着物以外でも、夏の着物に合わせるしな布の草履やバッグ、伊賀組紐や京扇子、べっこう、藍染め・・・

なども出品されています。

お近くまで行かれた方は、足を運んでみて下さい。

7月4日まで開催です。