春に向かって・・・

先日生徒さんを「きもの知識」の授業にお連れしました。

「きもの知識」の授業というのは、実際に着物や帯の反物を見ていただいて、

染織技術や着物と帯のコーディネイトをお勉強していただくものです。

こちらの教室にはお勉強していただくための反物は置いてありませんので、

この授業の際には恵比寿校まで足を運んでいただきます。

テキストの文章でしか理解していなかった様々は染織技術を、直に見ていただけるとても貴重な授業です。

 

見ていただく反物は全て売り物ですので、汚さぬように丁寧に扱います。

生徒さんに説明しながら反物を手に取っていると、自分で着てみたくなる反物がありました。

一通り授業を終えてから、改めてその反物や他のちょっと気になった反物をを広げて肩にかけ、

ご一緒した他教室から来た先生や生徒さん、その場にいらした校長先生に見ていただいて・・・

一番顔写りの良い物を選びました。

単衣の着物のお誂えです。

 

染匠では自宅で洗えるwashableの着物を扱っていますから、こちらの反物もwashable加工をお願いしました。

単衣の着物が一枚欲しいワ、と思っていたところでした。

 

まだこんなに寒いですが、最近はゴールデンウィーク頃から夏日のことがあり、とても袷は着ていられません。

仕立ての時間もありますから、今から準備しても早過ぎることはないのです。

染匠の3月の展示会では、もう夏物も出るんですよ。

 

私が自分の反物に夢中になっている間に、

ご一緒した生徒さんはご自分の「washable長襦袢」の反物をお探しでした。日頃から、自分のサイズに合った洗える長襦袢を誂えたいとおっしゃっていました。

お気に入りのものが見つかったらしく、やはりお仕立てへ。

仕上がりを心待ちにするうちに、春はやってきそうです。

 

 

紋付羽織袴と留袖

朝日新聞 2/14朝刊より
朝日新聞 2/14朝刊より

日本中がオリンピックに湧く中、13日に将棋棋士の羽生善治さんと

囲碁棋士の井上裕太さんの国民栄誉賞授与式が行われました。

首相官邸で行われた授与式に、お二人共紋付羽織袴で出席。

羽生さんの着物姿はよくお見かけしていますが、

やはり紋付羽織袴はちょっと違いますね。

お二人共とてもキリッとしていて、ステキでした。

和装では、紋付羽織袴は男性の衣装の中で最も格式の高い装いです。

 

一方の女性。

ミスの第一礼装は振袖ですが、ミセスの第一礼装は留袖。

きものカルチャーの初等科・修了試験は、

この留袖をご自分で着ていただくことになっています。

写真はこちらの教室の留袖です。

江戸友禅で、東京湾の磯の松や波、磯辺の民家などが描かれています。

色調も抑え目で渋く、華やかな京友禅とはまた違った雰囲気です。

 

黒い着物は女性を綺麗に見せるといいますが、

この着物を羽織ると、生徒さんは皆さんとてもしっとりとした大人の女性に変身します。

先日初めて留袖の授業に入った方も、実際に着てみて

「うわあ、ステキ」

                             とおっしゃっていました。

 

昔は親族も多く、結婚式もたくさんありましたから、留袖の活躍する場面は一生に何回もありました。

私の母ももちろん留袖を持っていて、何度も着ていました。

しかし現在では、残念ながら生涯に一度着るかどうかもわからない時代になりました。

日本女性の漆黒の留袖姿は、どんな豪華なドレスにも引けを取らない・・・と思うのですが。

 

 

 

木綿のきもの

何十年振りという寒さが続いています。

関東では週明けに大雪に見舞われて大混乱でしたが、今も雪が降り続いている地方もありますね。

電力不足から節電が呼びかけられているので、こまめに電気のスイッチを切るようにしています。

 

寒い毎日ですが、こんな季節に木綿のきものはとても暖かいですよ。

写真は会津木綿のきもの。

以前旅行で会津を訪れた際に織元に立ち寄って買ってきた反物を、自分で仕立てたものです。

木綿やウールの着物は袷に仕立てても良いですが、

単衣仕立てでOKということになっています。

木綿の反物には全国様々なものがありますが、会津木綿はかの地を思わせる地厚でしっかりした生地です。

 

左の写真は袖の丸み部分。

着物を仕立てる際、最近は「袖の丸みはどの位にしますか?」と聞かれなくなりました。黙っていると右の着物のように5分丸みになります。

会津木綿のきものは全くの普段着なので、この「袖の丸み」を大きくしました。

その分引っ掛かることも少なくなりますし、カジュアル感が増しますよね。

子供の着物などは、この袖の丸みが大きくなっています。

 

木綿の着物は自宅で洗うことが出来ますよ。

ですから、木綿の浴衣なども自分で洗うことが出来ます。

時々「浴衣を洗ったら丈が短くなりました!」

という方がいらっしゃいますが、木綿は水に通すと縮みます。

このために、木綿の反物は仕立てる前に必ず水を通します。

ここで一度水に通してから仕立てれば、以降の洗濯で縮むことはありません。

店頭に並べれれた既成の浴衣は、恐らくこの処理をしていません。

もっとも浴衣は基本的に長襦袢を着ませんから、多少縮んでも問題はありませんが。

1/23朝の景色
1/23朝の景色

 

教室にいらっしゃる生徒さんの中に

「木綿のきものを着て、半巾帯を締めて、下駄を履いて近所にふらっと買い物に行きたい!」

という方は結構いらっしゃいます。

豪華な訪問着ばかりが着物ではありませんものね。

普段から木綿のきもので近所にお買い物・・・

なんて生活が出来たら、それはもう「着物通」ですね。

 

 

 

現代の名工

以前に和裁を習っていたことがあります。

引っ越して教室から遠くなってしまったために通うのを止めてしまいましたが、

その先生と今でもお付き合いがあって、時々お会いしてお話を伺うことがあります。

そんな時は着物について色々なことを教えていただいて、とても勉強になります。

 

その加藤静子先生が、昨年秋に厚生労働省の「現代の名工」に選ばれました。

その記念の作品展が開かれています。

 

場所は松戸ですが、松戸市の広報誌に紹介記事が出たそうで、

たくさんの人が来ていました。

中には94歳というおばあちゃんもいらして、昔着物を仕立てていらしたのか

「あんまり素敵で涙が出るわ」

とおっしゃっていました。

産経新聞 2018年11/26日
産経新聞 2018年11/26日

 

先生は何種類もの大島紬をつなぎ合わせ、それを生地となる大島紬に縫い合わせる「切り嵌(は)め模様大島訪問着」を考案されました。

生地の上から縫いつけるのではなくて「切り嵌め」ですから、

寸法をきちんとしなければ、生地に凹凸が出来てしまいます。

作業の最初は色や柄、寸法などを合わせるために設計図から作るそうです。

 

この「切り嵌め模様大島訪問着」は、もちろん一点一点手作りのオリジナル。こんな素敵な着物を着て歩いていたら、振り返られること間違い無しです。

 

お近くの方は、是非足を運んでみて下さい。

伊勢丹・松戸横の松戸市文化ホールで、21日(日)まで開催です。

新春ドライブ

年初めの三連休の一日、主人とドライブに出掛けました。

行き先は、茨城県笠間市。

盛りだくさんの一日になりましたので、駆け足で書きます。

 

笠間といえば焼き物が有名ですが、

この日の行き先にこちらを選んだのは、骨董市が開かれるとの情報があったからです。

笠間焼だけでなく、色々な物が並んでいました。

特に狙っていたものがあったわけではありませんが、主人はドイツのなんちゃらいうプラモデルメーカーの電車を見つけて釘付けになっていました。

骨董市を一通り見終えて、次は笠間

日動美術館へ。

とその前に、お腹が減ったので美術館前の「ポーム・ド・パン」というフランス料理のレストランに入りました。

店内には花がたくさん生けてあり、内装も綺麗で、お料理もとても美味しくいただきました。

お腹も満たされていよいよ美術館へ。ここではお正月から写真家・白鳥真太郎さんの「貌」という展示会を開催中。これは本にもなっていて、以前に図書館で見たことがあります。

主人はこのポスターがとても気に入り、いただけませんか?と受付の人にお願いすることに。

在庫を確認の上、譲っていただくことができました。



ここまで来たのですから、笠間稲荷にお詣りをします。

新年明けたばかりですから、混みあっていました。

 

お詣りを済ませた後は、最後に茨城県立陶芸美術館へ。

茨城陶芸美術館は東日本初の陶芸美術館で、

人間国宝や文化勲章受章者の作品を見ることが出来ます。

 

 

今回見たかったのは右の企画展。

茨城県といえば結城紬が有名ですが、手の込んだ作品を拝見出来ました。

その他にも着物を黒に染めるのに下地に藍を用いる「水戸染」の展示が。

この染は江戸時代、「水戸公の羽織は江戸城の金屏風によく映える」と言われていたのだそうです。

 

この間、陶磁器に全く興味のない主人は、

公園内で特別に開催されていた遊覧ヘリの飛行へ。

約15分程の遊覧飛行を満喫してきたようでした。


池田重子「横浜スタイル展」

年末年始に実家にいた際に、横浜そごうで開催中の「池田重子/横浜スタイル展」に行ってきました。

池田重子さんはご存知のように有名な着物コレクターです。

残念ながら2015年に亡くなりました。

「池田重子コレクション」と呼ばれる物は明治・大正・昭和初期の美しいものばかりですが、

それは着物だけではなくて、帯や帯留などとの素敵なトータルコーディネイトを見せてくれます。

 

今回は妹と足を運びました。

妹は現在着物を着ていませんが、

以前に着付けを習ったりして興味はあります。

二人でワクワクしながら出掛けました。

 

まず最初の入り口付近、ここだけは撮影OKというコーディネイトをパチリ。

粋な江戸前のお正月、といった感じでしょうか。

 

こちらの帯付近を拡大すると・・・

松の内だけに許される贅沢な取り合わせ。


 

池田重子さんが横浜育ちということで、ここから展示内容は港の風景や洋風なデザインなど

「横浜的コーディネイト」を見せてくれました。

展示会は、横浜そごうで8日までです。

 

見終わった妹は「ステキ~♡」とうっとり。

帰宅後、いつの間にか池田重子さんの本をネット発注しておりました。

 

 

「袖を通す」

「袖」のつく言葉は意外に多くあります。

袖を分かつ、袖を絞る、袖を引く・・・

「袖を分かつ」というのは「袂を分かつ」と同じ意味ですが、どちらも袖ですから面白いですね。

「袖を絞る」のは、着物を着た女性が袖で涙を拭くことからきていますが、歌舞伎や文楽で見られるしぐさです。

「袖を引く」はこのしぐさで注意をしたり催促したりする意味ですが、

これが「男の袖を引く」ということになると男性の気を引くという意味になり、また違ったことになってきます。

 

初めての衣服を着ることを「袖を通す」といいますね。

最も、最近の若い方はこんな言い方はしないかもしれませんが。

 

前置きが長くなってしましましたが、

生徒さんの初めてのお誂えが仕上がってきました。

染匠のwashable長襦袢とコートのお誂えです。

納品のお知らせをすると、心待ちにされていたのか、

お仕事の合間に取りにいらっしゃいました。

「お誂え」ですから、サイズピッタリに仕立て上がっているはずですが、確認のため「袖を通し」ていただきます。

 

新しいタトウ紙を開く時は、いつでもワクワクドキドキです。

しかも今回は、ご本人にとって初めての「お誂え」でした。

まず長襦袢のタトウ紙を開けます。

淡い色のグラデーションに染められた長襦袢。

「うわ~、きれい。」

羽織ってみました。バッチリです。

次にコート。こちらも淡い色の上品なコートが出来上がりました。

 

コートも出来たので、これから寒くても着物でお出掛け出来ますね。

どちらも満足されたようで、私もとても嬉しいです。

 

 

初めての「お誂え(おあつらえ)」

生徒さんが、ご自分のサイズに合った長襦袢を誂えたいとのことで、染匠の展示会にご一緒しました。

 

「自分で着物が着たい」とのお気持ちで着付けの勉強を始められた方ですが、

最初はご自分の着物や長襦袢・帯などをお持ちで無かったので、

ご自宅での練習用に染匠の「入門者セット(既成品)」を購入されて勉強していました。

 

先月無事に卒業される頃、

「自分サイズの長襦袢が欲しいのですが・・・」

と相談されました。

そうなんです。

着物を着らるようになると、ちゃんと自分の体に合ったものが欲しくなるのですね。

 

ちょうど今月染匠の展示会がありましたので、ご一緒しました。

まずは長襦袢。染匠の長襦袢は正絹ですが washable で、自宅で洗えるという優れものです。

会場でたくさん反物を見せられて、「迷ってしまうわあ~」と。

鏡の前で肩から反物を下げて、あれこれ悩んで・・・、遂にお気に入りの反物が見つかりました。

 

その後校長先生に相談にのっていただいて、コートも誂えることに。

この方は積極的に着物で外出されているので、「これからはコートが無いと、寒いでしょ?」と、校長先生。

ご本人も、長襦袢の他に着物かコートも作りたいと考えていらしたので、早速コートの生地を物色。

校長先生がおススメして下さった反物の中に、お好きな柄を発見!

色も柄も上品なステキな反物でした。

 

仕立てに一ケ月程かかりますが、クリスマスや暮れのお出掛け、もちろんお正月には堂々と着物でお出掛け出来ますよ。

「今から楽しみ~」

と初めての「お誂え」に満足されたご様子でした。

納品まで、ワクワクしながらお待ちくださいね。

 

ドラマ「陸王」

ドラマ「陸王」が始まりました。

役所広司さんが足袋・こはぜ屋の社長役で、とても楽しみにしていたドラマです。

 

原作は池井戸潤さん。

ドラマになると聞いて直ぐに図書館で本に予約を入れたのは、夏の始まる頃だったと思います。

その時既にたくさん予約が入っていました。

流石に池井戸潤さんですね。

何とかドラマが始まる前に読みたい、と思っていましたが間に合いませんでした。

あと少し・・・先週は選挙で一回お休みなので、少し追いついたでしょうか?

少なくとも、ドラマがどんどん進んで行く前に、何とか読み終えたいと思っているのですが。

 

皆さんご存知かと思いますが、埼玉県行田市の老舗足袋屋さんのお話です。

足袋を履く人が少なくなって経営が立ち行かなくなった足袋屋の社長さんが、

これまで培った来た「足袋作りの技術」を活かして「裸足感覚の足袋型ランニングシューズ作り」を試みるーーー。

先代も試みていた足袋技術を踏まえたランニングシューズの名前が「陸王」。

名前はこのままに、現社長は新製品作りに挑んで行くのです。

 

行田は江戸時代から知られた足袋の産地。

良質な木綿の産地でもあり、近くを中山道が走っていたことから、

足袋の生産が盛んになったと言われています。

現在でも、全国有数のシェアを誇るのだとか。

ドラマの中にも登場しましたが、足袋の指の部分を縫うミシンは明治時代から使っている「ドイツ式八方つま縫いミシン」というもの。

そのミシンでないと、足の指にフィットしたカーブが描けないのだとか。

 

池井戸潤さんのドラマは、どれも元気が出ますね。

果たして「裸足感覚の足袋型ランニングシューズ」は完成するのか?

こはぜ屋を応援しながら、見て行きたいと思います。

 

 

きものデビュー

先日初等科にいらしている生徒さんが、自分で着物を着て外出するという「きものデビュー」をしました。

それは「きものカルチャー」で実施している「きもの知識」の勉強会の日でした。

授業は恵比寿校で午後からの予定でしたので、時間に合わせて家を出ます。

 

「きもの知識」は、「きものカルチャー初等科・中等科」で行われている授業で、

実際に着物や帯の反物を手に取って勉強していただけるものです。

着物には様々な染織技術があり、テキストにはその説明や写真が掲載されていますが、

実際に手に取って目で確認できるというのは、とても勉強になります。

 

「きものカルチャー」ではこの授業を定期的に開いていて、生徒さんはご自分の都合に合わせて受講出来ます。

今月はこちら印西教室から二人の生徒さんが出席予定でした。

授業が行われるのは恵比寿校ですし、まだ着付けの勉強中ですから、

必ず着物を着ていかなければならないということはありません。

ですがお二人共「着物で行きたい!」と楽しみにしていました。

残念ながらお一人が体調を崩されて、前日に欠席の連絡が。

でも大丈夫!前述のように定期的に開催されていますから、次回参加しましょうね。

 

「雨だったら着物が着れないから晴れるといいなあ~」

とおっしゃる二人共「雨女」とのこと。

ですが私が強力な「晴れ女」なので、当日は晴れ。

出席の生徒さんは午前中にばっちり準備をして、

待ち合わせ時刻にちゃんと着物を着て現れました。

 

翌日「昨日はとても楽しかったです」とお便りが届きました。

勉強の後は美術館に立ち寄ったとのこと。

「最後まで着崩れませんでした!」と嬉しい報告も。

 

着物が着られるようになると、着物を着て外出したくなりますね。

どんどん着物を着て、ますます着物が好きになって欲しいです。

きものデビュー!が上手く行ったようで、私もとても嬉しいです。