夜咄の茶事

茶道には「茶事」と呼ばれるおもてなしの行事があります。

先日の大寄せの茶会のように、大勢が集まって次々にお茶をお出ししておもてなしをするのとは異なり、

「茶事」は少人数のお客様を、亭主自らおもてなしするという、茶道では実はこちらが正式です。

「茶事」は、懐石料理付きのフルコースですから、

「正午の茶事」という一般的なものだと約四時間ほどかかります。

 

この度、社中の中に「夜咄(よばなし)の茶事」を計画された方がいらっしゃって、お客様としてご招待を受けました。

12月上旬の予定です。

「茶事」にも色々な種類がありますが、「夜咄の茶事」というのは

日没頃から始まって懐石料理の夕食をご馳走になり、

最後に濃茶・薄茶を頂戴するというもの。

季節は丁度今頃の、侘びた季節が相応しいとされています。

 

今頃の夕方はもう薄暗いですから、

茶事が始まる頃にはもう真っ暗です。

そんな中、茶事は電気を付けずに、ろうそくの火だけで進みます。

 

以前に、先生がこのろうそくを使ってお稽古して下さったことがあります。

その時は昼間でしたが、蛍光灯の電気を消してろうそくの火だけでお稽古しました。

もちろんいつもより暗いですが、ろうそくの火にはとても温かみがありました。

 

現代の暮らしは隅々まで明るく照らされて、明るいことに慣れてしまっていると感じました。

昔の家には「暗いところ」があって、子供の頃には夜怖くて近寄れなかった記憶があります。

「夜咄の茶事」は、そんなやさしい灯りに照らされながら、しっとりと行われる素敵なお茶事なんですよ。


社中で行う茶事ですが、今日ご亭主側から「茶事お誘い」のお便りが届きました。
こちらからも、お誘いのお礼の返事を書くのが礼儀になっています。

巻紙に毛筆で(筆ペンですが(*^^*))書きます。
こうしてお茶事は、既に始まっているのですね。