引き抜き帯

定期的に恵比寿本校に着せ付けの勉強に行っています。

その日に勉強会に参加した者同士で着せ合いをしますが、

初めてお逢いする方と着せ合うことも多く、毎回体型の違いや着物・帯の違いなどがあって、

とても勉強になります。

 

先日の勉強会でご一緒した方が、ステキな染帯をお持ちになりました。

相手に着せ付ける前に、帯については長さや柄の位置などの確認を必ず行いますが、

その時に、この帯のお太鼓の柄が通常とは反対の下向き(タレ先向き)に付いていることに気付きました。

先生にも確認していただいて、これは「引き抜き帯」ということがわかりました。


引き抜き帯というのは、

お太鼓の柄付けが下向きになっています。

(下図の左が通常の帯で、右が引き抜き帯)

普通の結び方をすると、お太鼓の柄がそのまま下向きになってしまいます。

ですから、後ろで結んでお太鼓を作る際に垂れ先まで全部を引き抜かずに、垂れ先を残しておきます。

そうしてお太鼓を作ると、お太鼓の柄はちゃんと上を向くのです。

    資料:プレジデントムック「七緒」vol.23 より
    資料:プレジデントムック「七緒」vol.23 より


この帯をお持ちになった方は、この帯をお母様からいただいたとのこと。

最近ではこのような「引き抜き帯」はあまり見かけません。

先生も今回で三度目とおっしゃっていました。

私も本で読んだことはありましたが、実際に目にしたのは初めてで、勉強になりました。

 

最近では見かけない引き抜き帯ですが、

今回のように譲り受けたり、アンティーク帯として購入したりすると、もしかすると手にすることがあるかもしれません。

帯を購入する際には、帯の長さや柄の配置など確認することが必要です。

 

そして人への着せ付けは、ほとんどの場合が限られた時間の中で行われるもので、

やり直しの時間はありません。

長さや柄付けを確認した上で着せ付けを始めることの大切さを痛感しました。