「棗(なつめ)」が出来るまで

お茶の道具には様々なものがあります。

その中で裏千家・表千家・武者小路千家の三千家の茶道具を400年に渡って作り続けてきた10の美術工芸の家を

「千家十職(せんけじっしょく)」と呼びます。

楽茶碗の「楽家」、一閑張りの「飛来一閑家」、土風炉・焼物の「永楽家」・・・などなど。

その中に棗や香合・盆などを作る塗師(ぬし)の「中村宗哲家」があります。

 

毎月裏千家から送られてくる会報誌があるのですが、

その中で毎月この「千家十職」の技を紹介する特集ページがあります。

今回はこの中村宗哲家。

当代は13代目で女性です。

左の写真は「切り型」と呼ばれる棗の寸法を正確に伝えるものを棗に当てているところ。

千利休の定めた「利休形」を守るために、400年伝えられてきたものです。

写真は2点とも「裏千家グラフ」2017年12月号より
写真は2点とも「裏千家グラフ」2017年12月号より

今回の特集ページで面白いと思ったのが、

右の写真の棗を作る際に使用する道具類。

左から3・4番目の刷毛は上塗り用で、柄の先には人毛。

その右隣りは「ふしあげ」といい、上塗りの際に入ったホコリを取り除くもので鶴の羽根の根元を削ったもの。

右から2番目の赤い筆は蒔絵筆で、鼠の毛。

一番右は「爪盤」という上絵を描く時に使うパレットで、

昔は水牛の角から作られていたとのこと。

その他にも、蒔絵を磨くのに犬の牙を使ったりもしたのだとか。

昔の人たちが自然の中から道具に適した材料を探し出すことに長けていたいたことに驚きます。

 

以前にテレビの番組で、蒔絵に使用する筆に使う鼠が取れなくなってしまって、

これから技術を伝えて行くのが難しいといっていました。

これを危惧して何とか新技術で対応しようとしたけれど、

粘り気のある漆を扱うのに鼠の毛に勝るものは生み出せなかったそうです。

環境が変わり、昔からの技術を伝えて行くのもなかなかたいへんですね。