朝晩ずいぶん涼しくなり、秋らしくなってきました。
着物を着ていても汗ばむことなく、着物を着る悦びをしみじみと味わえる季節が再び訪れたように思います。
そんな中、今発売中の「美しいキモノ/2020年秋号」(婦人画報社)では、
「きもの名著図書室」として、着物について書かれた本の紹介をしています。
ここに掲載されている本の多くは「着付けの how to 本」ではなくて、
様々なジャンルの着物達人方の着物との関わり方を書いた本や、
もっと着物に親しみたい方のためのオススメの本が紹介されています。
紹介者の中には、テレビでも拝見する岩下尚史さんや、「オニババ化する女たち」の三砂ちづるさん、着物の雑誌でよくお見かけする安達絵里子さんなどのお名前も。
紹介された本の中には詠んだことのある本もありますが、紹介者お二人から推薦された鶴見和子さんの「きもの自在」(2016年 ちくま文庫)は読んだことがないので、一度読んでみたいと思いました。
興味のある方は、「美しいキモノ」最新号をご覧くださいね。
まだまだ他にもたくさんの本が紹介されていますよ。
私も折に触れて開いてみるきものの本があります。
一つは、村林益子著「美しいきもの姿のために」(2007年 筑摩書房刊)。
村林さんは和裁士。ご自身のことを「仕立屋」とおっしゃっています。
ところで、和裁士のことを単に「着物を縫う人」と思っていらっしゃいませんか?
着る人が着やすく、そして美しい着姿になるために和裁士さんの技術は不可欠です。
年齢や体形の変化に柔軟に対応し、着やすく美しい着姿を保つためには、
和裁士さんの知恵をお借りしなければなりません。
この本は、そんな仕立屋さんの立場から着物について書かれた本で、
読む度に目からウロコです。
もう一冊は、このブログにも時々登場する本で、
山下悦子著「きもの歳時記」(1998年 平凡社ライブラリー)。
山下さんはきもの研究家ですが、この本は一月からの一年を通して
季節感やその時期の思い出を、きものと関連させて綴っています。
現在は冷暖房が行き届き、温暖化で冬の寒さもそれ程厳しく感じませんが、この本には
まだ日本に移ろい行く季節感がはっきり残っていた頃の着物の話がたくさん書かれています。
着物でも着てみようかしら・・・
そんな気持ちになる秋の深まりと共に、着物について書かれた本を手に取られてみるのはいかがでしょうか。