きおろし きもの教室 ブログ
先日、成田空港の近くにある「三里塚記念公園」に行って来ました。
この公園について知ってはいましたが、実際に行ってみるのは初めてでした。
この辺りには江戸時代、江戸幕府によって佐倉牧という馬の放牧地がありました。
明治になって羊毛の需要が高まり、政府はアメリカ人牧羊家のアップジョーンズという人を雇って、ここに下総牧羊場を開場しましたが、その後牧羊事業は次第に縮小。
以降いろいろな経緯があって、明治22年に「宮内庁下総御料牧場」となりました。
「御料牧場」というのは、皇室で用いられる農産物を生産している農場のことです。
三里塚御料牧場は日本で唯一の宮廷牧場で、牧畜事業のほか畜産加工品も製造されていました。
また日本獣医学発祥の地ともされています。
昭和天皇・皇后両陛下がお越しになったり、海外からのお客様をお招きしての園遊会も行われたそうです。
資料館には、両陛下がお使いになった馬車も展示されています。
戦後、ここに成田国際空港が建設されることになり、御用牧場は栃木県に移転されました。現在その跡地に資料館が建ち、公園になっています。
敷地内には、きれいな茅葺屋根の建物「貴賓館」が建っています。
「貴賓館」は外見は茅葺ですが、当初内部は洋風だったとのこと。
なぜかというと、この建物は下総羊場の初代責任者として明治政府に雇われたアメリカ人アップジョーンズ氏の住まいだったからです。
氏の退職後は貴賓館として内部を改装、先述したように各国の大使を招待する園遊会の会場として、また皇族の方々の宿舎として使われたそうです。
とても静かできれいな公園ですが、驚いたのは敷地内に防空壕跡があること。
これは太平洋戦争当時の現・上皇様が皇太子だった頃、その身を守るために作られたものだそうで、地下に実際に降りてみることが出来ます(資料館に申請が必要)。
結局使われたことはなかったそうですが、説明を聞いていると、なんだか戦争が身近に感じられてしまいました。
こちらの教室で中等科(他装を勉強)でお勉強されていた方が、
先日修了試験に無事合格されて、着付け講師一級の認定を受けられました。
中等科の修了試験の実技試験は「留袖を15分で着せる」。
中等科も終了するころには手際も良くなり、通常こちらも心配するようなことはありません。ほとんどの方が少し余裕をもって着せ終わり、残りの時間を手直しに充てることが出来ます。
中等科修了の際には、上記のような「人に着せる(他装)」試験と共に、
着物を着た自分自身を撮影して提出することも必要で、これを「認定写真」と言い、
今まで勉強してきたことを踏まえて、着物を着たご自身の「ベストポーズ」を写真に収めます。
これは自分で用意しても、写真館で撮っても、また各教室で撮影しても良いのですが、
いずれにしても、こちらは「自装の総まとめ」ということになります。
先述の生徒さんも、認定写真を提出されました。
着姿と共に、写る際の姿勢や表情などみな素晴らしいお写真で、
ご覧になった校長先生からお褒めの言葉をいただきました。
この方は中等科の過程が終了されたわけですが、
「もっと着物の勉強を続けたい」とおっしゃって、高等科へ進学されます。
自分で着ることも、人に着せることも、どれだけやっても終わりということはありませんから、私も一緒に勉強していくつもりです。
ところで話は変わりますが、今年の1月の成人式で振袖の着付けをさせていただいたかたからお便りが届きました。
着付け後にお願いしたアンケートが2ヶ月遅れで届いたものですが、最後に嬉しい言葉が書かれてありました。
「地元を離れて直前まで留学していた私にとって、成人式は少し憂鬱な行事でした。
でもきれいに着物を着付けていただき、自信をもって参加することが出来ました。
また機会がありましたら、よろしくお願いします」
着物がこの方の気持ちを明るくして、そっと背中を押してくれたのかもしれませんね。
着物を着ることで、楽しく成人式に出席されたご様子を嬉しく思います。
先週の日曜日、水戸・偕楽園の梅まつりに行ってきました。
この日は20℃を越える気温がニュースにもなった日。
本当にポカポカで人も多く、始まったばかりの梅まつりですが花は結構咲いていて、良い香りか漂い、散策には
絶好の日でした。
この日に偕楽園を訪れたのは、毎週日曜日には野点でお茶がいただけるからです。
野点は、裏千家・表千家・石州流・江戸千家など、毎週異なる流派がお点前を担当されるようです。
私が行った日は石州流の方々が担当。
石州流は、四代将軍徳川家綱公の茶道指南役だった片桐石州を流祖とする武家茶道の流派です。
違う流派のお点前を拝見できる貴重な機会なので、楽しみにしていました。
お点前を拝見していると、お道具の配置や扱い方も少しづつ違います。
お点前も武家茶道だからでしょうか、どことなく勇ましく
感じられます。
私が座った回は女子高生がお点前を。
初々しくて微笑ましかったですが、目の前のおばさんがじっと見つめるのでやりにくかったことでしょう。
ごめんなさい・・・。
話は変わり、今週はお茶の友人と東京国立博物館で開催中の「本阿弥光悦の大宇宙」展へ行きました。数日しか違いませんが、梅まつりに行った日とは打って変わって雨降りの寒い日。「混まないうちに」と相談して朝早く行きましたが、それほど混んでおらず、ゆっくり見ることが出来ました。
俵屋宗達との合作で有名な「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」の本物や、光悦手びねりの有名な茶碗がずらり。
どの作品もとてもモダンな美しい造形で、古さを全く感じさせません。
美しいものをたくさん拝見した一日でした。
皆さんは「メルカリ」をご利用されていますか?
私も欲しいものがあるとメルカリを覗いて、気に入ったものが安く手に入りそうな場合は、購入させてもらったりしてきました。
購入はこちらが支払う側なので、商品と金額に納得がいけば、到着後それほどトラブルは無いですが、こちらが「出品者」ということになると、商品に対して責任を持たなければなりません。
ほとんどの物が中古品ですから、金額の設定や商品の説明には気をつかいます。
こちらが「このくらい・・」と感じる汚れでも、支払う側にすれば「このくらい」では済まないこともあるでしょう。
色々と考えると、なかなか出品に手が出せずにいました。
「初めての出品は時間のある時に落ち着いて」と思っていましたが、延ばし延ばしになっていました。
それがやっと今月10日を過ぎた頃少し時間に余裕があり、メルカリ出品にチャレンジしよう!と決意しました。
私にとってメルカリ出品の目的は断捨離です。
不要になった物でもきれいでまだ使えたり、今まで取っておいたけれどもう必要が無くなった物など、
もし使って下さる方や必要な方がいたら、譲りたいという気持ちです。
まずは取っておいた最近の展示会の図録類から出品してみることにしました。
写真を撮って価格を設定し、紹介文章を書いてアップします。
比較的新しく綺麗なもので、全部で7点ほどありましたが、
こちらが初心者で、ゆっくりもたもた慎重に出品作業している間に、なんと最初に出品した図録が売れました!
そしたら今度は発送です。
発送方法も様々あるので、寸法や重さに注意しながら梱包し、発送しました。
無事に届くかな~
メルカリでは、届いた後に購入者から連絡が入るので、それまでドキドキです。
それにしても、出品して直ぐに売れたので、本人は結構気を良くしています(*'▽')
まだまだ慣れませんが、こちらで不要になったものでも使って下さる方がいたらと思い、時間を見つけてメルカリ出品していくつもりです。
テレビのニュースでは、朝からずっと積雪の話題です。
こちらでも雪は昨晩から降り始め、朝起きてみると一面真っ白でした。
昨日からこの積雪は予報されていたので、今日は出掛けなくても済むように
買い物も昨日のうちに済ませました。
現在広い道路の雪は既に解けているようですが、
日陰の雪は残りそうですね。
いざ出掛けるとなるとなかなかたいへんな「雪」ですが、様々に意匠化されて着物や帯の文様に使われてきました。
右の写真は「小袖萌黄紋縮緬地雪持竹雀文様」と呼ばれる篤姫所用と伝わる着物の裾部分です。このような草木に積もる雪を現したものを「雪持文」と呼び、雪持笹、雪持松、雪持柳などたくさんあります。
また、下の写真は夏用の帯ですが、「雪輪」と呼ばれる
雪の結晶をイメージした文様です。
雪輪文様はもちろん冬にも使われますが、夏帯や浴衣の文様にも使われ、暑い夏を涼しく演出します。↗
雪の文様は、お茶の道具にも使われています。
右上は「雪花蒔絵棗」。
雪の結晶が描かれています。
今日のような日に使うと、
とても印象に残りそうですね。
下は、「亀甲雪花蒔絵交合」。
こちらも今の季節ならではの
交合です。
雪のほかに「霰(あられ)」もあります。
着物で霰というと江戸小紋に多く見られますが、お茶では写真のような釜の地肌霰と呼んでいます。
↙ ※茶道具の写真は、
「茶道具に見る日本の文様と意匠」森川春乃著 より
↙ところで話はガラッと変わりますが、左は川瀬巴水の「芝増上寺」です。赤と白のコントラストが美しいですね。
雪の降る中、着物姿の女性が傘をつぼめて増上寺の前を通り過ぎていくところで、とても風情のある版画です。
足元を見ると、履いているのは下駄。
雨や雪の日は、二枚歯の下駄を履くと着物や足袋を汚しません。道のほとんどがアスファルトになった現代では、ぬかるみを歩くことが無くなり、こんな下駄を履く人をほとんど見なくなりました。
それでも時々雨の日にこんな下駄を履いている方を見かけると、お洒落に気を配っていらっしゃるように感じられて「素敵だわあ~」と思います。