着物を再生する

今や誰もが知る某フリマアプリのCMで、綺麗な振袖を着た若い女性が、

「結婚式でスピーチをするから着物を買ったけど、もう終わったからまた売っちゃおう!しまっておくよりお得でしょ。」

とスマホを見ています。「必要な時はまた買えばいいんだもん。」

 着物はメンテナンスが必要ですし、保管に場所も取りますから、日頃着物を着物を着ない方や保管場所の無い方には、

「必要な時に買って、終わったら売る」というのは確かに有効なやり方ですね。

 

着物を持っていると、メンテナンスが必要です。

絹の着物は着る度に洗えませんし、

しまったままにしておくと、久しぶりに出してみたらシミになっていた、というようなこともあります。

 

一方で、大切に扱えば再生が出来るのも着物の特徴です。

ですから、こちらのきもの教室では「きものの再生」についても勉強します。

ほどいた着物は、はぎあわせると   一枚の反物に戻ります
ほどいた着物は、はぎあわせると   一枚の反物に戻ります

着物はほどいて一度洗い、はぎあわせると反物に戻りますが、

それを仕立て直すと、また着物になります。

この際に必要ならばサイズの変更が可能になるワケですが、

その辺りのことを、授業では着物の各部分(身頃・袖・衽・衿など)を

折り紙で作って生徒さんに説明しています。

折り紙で作った各部分を組み立てていくと一枚の着物になり、

次に生徒さんの目の前でそれを分解して(ほどいて)つなげると、

「一枚の反物になる」ところを実際に見ていただきます。

そんな様子を見ている生徒さんは、「着物ってすごい!」と感動するみたいです。

生徒さんのお一人がお母さまから譲られた着物を沢山お持ちで、

その中の何点かご自分のサイズに直して着たいと考えています。

「着物は再生できる」と一口にいっても、予算もありますし、

着物の状態によっては出来ない場合もあります。

古いものだと、取れないシミなどがあるかもしれません。

それでも実際に着姿が思い出されるような着物は、

捨てるに忍びない気持ちになるものです。

私も好きだった母の着物が寸法の関係で自分の着物に仕立て替えが出来ず、帯に作り替えたことがありました。

 

着物を再生する際には、出来ない場合でも、着物についてたくさん勉強することになります。

この生徒さんにとってもお母さまの大切な着物ですから、良い機会と思って、たくさん勉強してほしいと思います。