秋のお茶事

先日、先生のお宅でお稽古茶事がありました。

今回のご亭主はまだ若い方で、ご亭主役は初めて。

私は正客を仰せつかり、前日までにお茶事の流れを一通り復習して臨みました。

 

11時半からの始まりに合わせて15分ほど早く到着し、待合で支度を整えます。

11月はお茶人のお正月。

定刻になり席入りすると、床には今回のお茶事にふさわしい「寿」と書かれた軸と

茶壺が飾られていました。

 

最初にご挨拶を交わした後、まず初炭。

つつがなく終わったかと思いきや、お客様の中から炭の匂いに気分が悪くなった人が・・。

今の住宅は気密性が良いので、炭を使う際には先生も窓を開けて下さるのですが、

換気が必要です。

先程の方は席を外して少しの間待合で休んでいたら、幸いにも回復。

実は朝ごはんを食べていらっしゃらなかったとことで、そんなことも要因だったかもしれませんね。

それ程寒く無かったので、少し開けていた窓をもう少し広く開けるようにして、

その後は順調に進みました。

この「炭」ですが、今回はご亭主が「初炭」で上手に炭をついだのでしょう、

火が良く起こってお湯がよく沸いている様子が伺えました。

この炭は、その後懐石が終わり中立ちをして濃茶を点てるまで沸いていなければなりません。

これがちょうど濃茶が終わる頃に炭が燃えつきて火力が弱くなり、その後の薄茶のために「後炭」のタイミングで

新たに炭がつがれます。 

実際に茶事に臨む中でこの火の様子を見ながら、長い間継承されてきた「茶事の流れ」は理にかなっていると思いました。

 

今そこで用意されたお料理をいただき、炭で沸かしたお湯でお茶をいただき、

その間に拝見するお茶道具の数々・・・とても充実した時間を過ごしました。

お茶事が進行する中でのお互いの思いやり、席を一にした者同士が気持ちを寄せ合い、幸せなひとときを過ごすこと・・・

お茶事の場をご提供して下さった先生、豊かな時間をご一緒した皆さま、

どうもありがとうございました。